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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター11
75/204

デパートでお買い物 4

「……え?」


 俺は顔を上げた。


 見ると、俺の隣には小室さんと古谷さんが立っていた。


「ふ、二人とも……どうして……」


「はぁ……まったく、小室さんをここまで担いでくるのも、大変だったんですよ?」


「え?」


 古谷さんは大きくため息をついていた。小室さんはただジッと俺のことを見ている。


「あかいくん、あのひと、たすけたい。わたしたち、きょうりょく、する」


「え……小室さん」


 小室さんが淡々としてそう言った。


「ま、私はあの人のこと、気に食わないですけど、赤井君が助けたいなら、私達も仕方なく、助けてあげるってわけですよ」


 古谷さんはそういって恥ずかしそうに眼を逸らした。なんだかんだでこんな事を言っくれる二人だからこそ、俺は、彼女たちのことを人間だと思っているのだ。


「ありがとう……二人共」


「御礼はいいですよ。ほら、助けないと、あの人、食べられちゃいますよ?」


「あ、あはは……そ、そうだった。で、でも、とにかく今はピンチになんだ。早く宮本さんを助けないと……小室さん、お願いできる?」


 しかし、小室さんは頷かなかった。なぜかチラチラと俺の方を見てくるのだ。


「小室さん、どうしたんです?」


 古谷さんも不思議そうにそう訊ねた。


 今すぐにでも宮本さんを助けなければいけないのだ。余りグズグズして居てもらっては困る。


「小室さん。早く!」


「……わかった」


 小室さんの態度は気にかかったが、それでもなんとか小室さんはゾンビの群れの方に向かって、またひとしきり「あー」とか「うー」とか言った。


 その後、ゾンビ達はなぜか急に宮本さんに興味をなくしたかのように、そこの場から離れていってしまった。


 ゾンビ達が居なくなった後でしばらく俺達は呆然としていたが、小室さんだけが振り返って俺達を見た。


「おわった」


「え……ああ。ありがとう」


 なんとか小室さんのおかげで宮本さんは助かったようである。もっとも、助かった当人はあまりの恐怖にいまだに立てないようだったが。


「宮本さん、大丈夫ですか?」


 俺はその場で座り込んだままの婦警に近寄って行った。宮本さんは完全に放心状態であった。

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