デパートでお買い物 2
「よかった……何事もなく済んだね」
「ええ。そうですね。もっとも、私達は別に怖くもなんともなかったですよ。勝手にビビっていたのはあの婦警さん一人じゃないですか」
俺と、古谷さん、そして小室さんは、そのまま持てるだけカートに冷凍食品をぶち込んみ、エスカレーターの辺りに戻ってきていた。
正直、ゾンビ映画でよくある人にいなくなったデパートで自由にものを買いまくる、っていうのはちょっとやってみたかった節もあったので、内心俺は興奮してしまっていた。
「これだけ、あれば、あかいくん、へいき」
「うん。ありがとう。小室さん」
小室さんの言うとおり、冷凍食品ばかりではあるが、これだけあれば当分食料の心配はする必要はないだろう。
一通り冷凍食品を何台かのカートにぶち込むことが出来た。中にはレンジで解凍するご飯もあったので、久しぶりに米類にありつけると考えると少しテンションがあがってしまっていた。
「……で、あのダメダメ婦警さんは、どこに行ったんですか?」
「え?」
古谷さんの一言でようやく気付いた。いつのまにか今まで一緒に夢中で冷凍食品を詰め込んでいた宮本さんが姿を消していたのだ。
「……宮本さん?」
「うわぁぁぁぁぁ!」
悲鳴が聞こえてきた。俺は瞬時に思った。やっぱり困ったことになったと。
「宮本さんだ……俺、行ってくる!」
「え……ちょっと! 赤井君!」
古谷さんの静止も聞かずに俺はそのまま走りだした。
「宮本さん! どこですか!?」
「あ……アイスコーナーだ!」
俺が叫ぶと、少し恥ずかしそうな叫び声が聞こえてきた。俺は急いでそちらに向かう。そして、アイスコーナーまでたどり着いた時、俺は言葉を失ってしまった。
「あ、赤井君……た、助けてくれ……」
見ると目の前には涙目の宮本さん。其の周りにはすでに五体のゾンビが取り囲むように宮本さんに近づいていたのだ。




