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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター11
72/204

デパートでお買い物 1

 俺も何度かこのデパートに来たことはあるが、こうして夜中に、しかもゾンビがうろついているかもしれない状況下にやってくると、まるで目の前のデパートが違う存在のように思えてくる。


 もっとも、おそらく店の中にいた人がゾンビ病の蔓延後にそのままで逃げたしたのだろうか、電気は付いているので、怖いという感じはなかったが。


「……よし。入るか」


 宮本さんはそういって、腰元に挿してあった警棒を取りだした。正直、警棒だけではどうにもならないと思ったので、今になってバットくらい持ってくるべきだったと後悔した。


 俺と宮本さん、そして、その背後を小室さんと古谷さんが歩く。


 まずはデパートの入り口に進んでいった。入り口も電気がついている。一見するといつも通りに思える。


「き、気をつけろ、赤井君。け、決して私の近くから離れるなよ」


 震えながらそう言ってきた宮本さんを見て、決してこの人から離れてはいけないなと思った。


「大丈夫なんですかね……この人」


 古谷さんも同じ気持ちだったようである。小室さんだけが落ち着いて……というか、相変らずの無表情でその場に立っている。


 そのまま俺達はデパートの入り口の前に経つと、自動扉が勝手に開く。


 そして、何事もなく俺達はデパートに入った。


 このデパートはそこまで大きなデパートではない。一階は確か服とか日用品を売っている場所だったはずである。


 電気がついていて、店内にはBGMと店内放送さえ流れている。ただ一つ違うのは誰も人がいないということだ。


「……ゾンビは……いないのか?」


 既に暴徒化した市民ではなく、ゾンビと言ってしまっている当りに、宮本さんの余裕のなさが窺える。


「まぁ……問題は地下一階だと思いますよ」


 地下一階。食料品売場である。


 ゾンビが入るとしたらむしろそちらのほうが可能性としては高い。


「そ、そうか……では、地下一階に……向かうか」


 ものすごく嫌そうな感じで宮本さんはそう言った。俺と小室さん、古谷さんは先頭を行く宮本さんの後をついていった。


 幸い、ゾンビの姿や気配すら感じることはなかった。俺達はそのままエスカレーターを使って地下一階へと進む。


「う……これは……」


 地下一階へとたどり着いた瞬間、違和感があった。


 というか、異臭があった。見ると、エスカレーターから少し離れたところには野菜と魚のコーナーがあったのだ。


「うぅ……あそこには近づけないな」


 夏前だとはいえ、最近少し暑い日が続いていた。そうなると野菜や魚が腐ってしまうのは当たり前である。


「この調子だと、肉類も全滅だろうな……」


「そうですね。まぁ、無難に電子レンジでチンできる冷凍食品とかを買って帰りましょう」


 俺の言葉通りに俺達四人はそのまま冷凍食品売り場へと向かった。もちろん、周囲には十分注意している。


 しかし、拍子抜けなことにどこからもゾンビは現れなかった。


 無論、地下一階もそれなりに広い空間であるから、どこか別のコーナーに居る可能性もあったが、少なくとも冷凍食品のコーナーに来るまでにゾンビニは逢わなかった。

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