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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター10
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ゾンビと人間 5

「そうだ! 車だよ! 私は車が運転できるんだ!」


 心底嬉しそうにそういう宮本さん。


「あはは……なるほど。確かにそうですね」


「だろう? 赤井君。この家に車はあるよな?」


「え、ええ。父の車があります」


「よし! では、さっそく行こう!」


「ちょ、ちょっと。宮本さん。今からですか?」


「ああ! 車ならライトが着くから暗くても問題はない。それに、ゾンビ共が来ても車なら安全だ!」


 なんだか死亡フラグ満載の発言をしているような気がしたが、確かに、間違ってはいない。車ならばゾンビが来てもまったく関係ない。


「ちょっと待って下さい」


 と、舞い上がっている宮本さんに水を指すような冷たい声が聞こえてきた。


 見ると古谷さんが腕を組んで宮本さんを睨んでいる。


「……ちょっといいですか?」


「あ、ああ。なんだ?」


「……婦警さんじゃありません。赤井君に話があるんです」


 そういって古谷さんは俺のことを見る。俺としては、いきなりそんなふうに見られてしまって俺はどうしたらいいかわからなかった。


「あかい、くん」


 と、小室さんの声で俺は反射的に立ち上がる。


「あ……な、何かな? 小室さん」


「ちょっと、きて。わたしも、はなし、ある」


 小室さんに言われるままに俺はそのまま立ち上がって小室さんと古谷さんの方に近づいていった。


「あ……あ、赤井君」


 と、宮本さんが俺の背後から呼びかけきたので、俺は思わず振り返ってしまう。


「え……なんですか? 宮本さん」


「あ……いや……その……私は、君たちのことを第一に考えているんだぞ。そこのところをよろしく頼むぞ」


 まるで念押しするように宮本さんは俺にそう言った。俺は宮本さんが何をいいたいのかわからなかったので、ただ曖昧にその言葉に対し頷いておいた。


「さぁ、行きますよ」


 古谷さんがそう言うと、俺と小室さんはその後に続いて部屋を出て行った。


「あー……古谷さん。なんでわざわざ俺だけ?」


 俺がそう訪ねると、階段を降りている途中で古谷さんは振り返って、キッと俺のことを睨む。


「……当然じゃないですか。赤井君が、あの婦警に誑かされていると思ったからですよ」


「……え? た、誑かされている?」


 俺は何を言われたのかわからなくて目を白黒させてしまった。


「あかいくん、あのひと、に、だまされてる」


 そして、小室さんも俺に対してどこかで聞いたことの在るようなセリフを言ってきたのだった。

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