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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター9
63/204

ゾンビと人間 1

「……はぁ」


 俺の背後から、何回目かわからないため息が聞こえる。俺は夜の街に向けていた双眼鏡から目を離し、振り返った。


「そんなに落ち込まないで下さいよ」


 俺がそういうと、ベッドの上に座る宮本さんは悲しそうな顔で俺を見た。


「……すまない。でも……」


 そして、俺がそう言ったにも関わらず、宮本さんはため息をついた。


「古谷さんのことなら、気にしないでください……って言っても、無理ですね。まぁ、古谷さんも結構、ナイーブなところ、ありますから」


 俺がそう言うと宮本さんは不思議そうに俺のことを見ていた。


「……君は……いや、君達は、もうここで暮らし始めて、長いのか?」


「まぁ、小室さんとはもう一ヶ月近くなりますかね。古谷さんとは二週間。それなりの付き合いですか」


「そうか……市民が暴徒化してから、そんなに経つのか」


 悲しげな調子で、宮本さんはそう言った。そして、顔を手で覆い、再びため息をつく。


「……なぁ、赤井君。教えてくれ。この状況はいつまで続くんだ?」


「え? さぁ……俺が教えてほしいくらいですよ」


 俺の答えは宮本さんの望むものではなかったようで、少し残念そうだった。


「……じゃあ、質問を変えよう。どうして君はそんなに平気でいられるんだ?」


 すると、宮本さんは少しヒステリックな調子で俺に聞いてきた。俺もそんな顔で見られるとなんだか怖くなってしまう。


「平気って、別に平気じゃないですよ」


「平気じゃないか! 現に君は、あの二人とも暮らしてきたんだろう? どうして、平気で――」


 宮本さんは声を少し荒らげて俺にそう言った。


「ちょっと待ってください」


 思わず俺は宮本さんの言葉をさえぎってしまった。言葉を遮られた宮本さんは驚きの表情で俺を見る。


「え……な、なんだ?」


「今の、どう意味ですか? 別にこの状況下とあの二人と暮らしてきたこと、何か関係ありますか?」


「だ、だってそうだろう? あの二人はゾン――」


「違います」


 そこまで宮本さんが言おうとしたところで、俺は言葉をさえぎった。言葉を遮られた宮本さんは驚いていたようだった。

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