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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター9
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残念な婦警さん 7

「……いつから食べてなかったんですか?」


 俺が聞くと、ようやく自分のあまりの食いっぷりに他の三人が驚いているのに気がついたようで、恥ずかしそうにしながら宮本さんは俺を見た。


「……き、昨日の朝から……警察署にあった食糧が……なくなってしまったから……」


「え? でも、警察署とかそういう場所って、災害時には食糧とか保存しておいてあるんじゃないですか?」


 俺がそういうとさらに恥ずかしそうにしながら宮本さんは顔を下に向ける。


「……ど、どこにあるか……わからなかったんだ……」


「へ?」


「食糧が、どこに保管されているか……わからなかったんだ……」


 顔を真っ赤にして宮本さんはそう言った。俺達は……少なくとも俺は、その言葉に対しなんと返していいかわからなかった。


「はぁ……警察官が聞いて呆れちゃいますね」


 そして、一番言ってはいけない言葉を言ってしまったのが、古谷さんだった。


「古谷さん……」


 思わず俺は避難の目で古谷さんを見てしまうが、古谷さんは別に動揺もしないようだった。


 しかし、その言葉を聞いた途端、いきなり宮本さんは立ち上がった。


「よ……よし! 私に任せろ!」


「……え?」


 いきなりの言葉に俺は思わず驚きとまどってしまう。そして、立ち上がった宮本さんもいまいち自分が立ち上がったのかわかっていないようだった。


「あー……任せろって?」


「あ、いや、だから……食糧がないんだろう? 私に任せろと言ったんだ」


「任せろって、どうするつもりなんです? こんな夜に、コンビニまでゾンビが大の苦手なアナタが一人で行ってくるっていうんですか?」


 古谷さんがそう言うと、顔をこわばらせて宮本さんは古谷さんの方を見た。


「はぁ……できないなら簡単にそんなこと言わないで下さいよ」


「なっ……! 君! 私は君よりも年長者なんだぞ! その言い方はなんだ!」


 と、ついに古谷さんの物言いに我慢の限界がきたのか、宮本さんがキレ気味にそう言った。


 しかし、古谷さんの方はまったく動じる気配すらない。それどころか、その言葉に対して無表情のままに、ゆっくりと椅子から立ち上がった。

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