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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター8
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残念な婦警さん 3

「……はぁ」


 そして、俺はテーブルの上に置かれたカップヌードルを見て大きくため息をついた。


「あかいくん、たべて」


 向かいの席に座った小室さんがそう言う。


「小室さん……でも……」


「いいんですよ。私や小室さんは食べなくても死なない。でも、赤井君は食べないと死んじゃうかもしれないじゃないですか」


「古谷さん……でも、古谷さんだってお腹は減るんでしょ?」


「減ったような気がしてくるだけです……だから、食べなくても問題はないはずです。さぁ、赤井君、食べてください」


 古谷さんはそう言ってくれるが、どう見ても我慢してそう言っているのは丸わかりである。


 小室さんの方はいつもとおりだが、かといってここで俺だけがカップめんを食べるのはかなり気まずい。


 やはり今からでもコンビニに行ってきた方がいいだろうか……しかし、夜となるとさすがに昼間のように安全なままで行けるとも思えないし……


「う、うーん……」


 と、そこへようやく目を覚ましたようで、宮本さんの声が聞こえてきた。


「あ。ようやく起きた」


 あきれた様子で古谷さんが目を覚ました宮本さんを見てそう言った。


「あ……あれ? 私は……」


「大丈夫ですか? 宮本さん」


 寝ぼけ眼でソファの上に起き上がった宮本さんに近づいていって俺は訊ねる。


「え? 私は……ああ。そうか。気絶してしまっていたのか……」


 恥ずかしそうに顔を伏せて、宮本さんはそう言った。そして、ちらりと小室さんと古谷さんの方を見てからすこし嫌そうな顔をする。


「あー……あ。そうだ。宮本さん。お腹減っていませんか?」


 俺は宮本さんの気をそらすためにそんなことを言ってみた。


「え? いや、私は、別に……」


 その瞬間だった。まるで漫画のような「ぐぅ~」というお腹が鳴る音がどこからか……いや、分かりやすく宮本さんのお腹から聞こえてきた。


「あ……」


 宮本さんは先程よりもさらに恥ずかしそうに顔を赤らめてうつむいてしまった。


「……ぷっ。あははっ!」


 不意に笑い声が聞こえた。見ると、古谷さんがうれしそうに笑っていた。


「古谷さん……」


「あ……ごめんなさい……で、でも……ふふっ……」


 古谷さんがなんとか笑いをこらえようとしているがそれでも抑えきれないようである。


 宮本さんはそのまま恥ずかしさで消えてしまうのではないかというくらいに、顔を真っ赤にしていた。


「え、えっと……宮本さん。あの……これ、食べません?」

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