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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター7
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闇夜の探索 9

 いきなりそう言い放った小室さんに対して、さすがの古谷さんも怪訝そうに首をひねる。


「こども。わがまま」


 それに構わずに、小室さんは先を続けた。


「わ、我儘って……私、別に変なこと言ってないですよ。私は、一人で大丈夫なんです。ゾンビになってから、ずっと一人のままだったし……」


「うそ。さびしかった、でしょ」


 小室さんの言葉に、古谷さんは目を丸くして黙ってしまった。


 俺も、思わず小室さんの方を見る。


「さ、寂しかったなんて……そんなこと……あ、アナタに何がわかるんですか? アナタはずっと赤井君と一緒だったんでしょう?」


 少し興奮気味に声で古谷さんは小室さんに向かってそう言った。


 もし公園の中にゾンビがいたら不味いなぁ、と思ったがそんな様子の古谷さんを見ているとそんなことも言えないのだった。


「ちがう。わたし、ひとり、だった」


「え……」


 古谷さんが意外そうな顔で小室さんを見る。


「あー……小室さんはずっとコンビニのトイレで一人だったんだ」


「そう。だから、わたしも、さびしかった」


 小室さんは無表情でそう言っていた。


 しかし、そんな小室さんに対して、古谷さんはすまなそうな顔で小室さんを見ている。


「そ……そうだったんですか」


「うん。ぞんびになってから、ずっと、わたし、ひとり。あかいくん、に、あうまで、ひとり。さびしかった。さびしくないわけ、ない」


 小室さんの口から出てくる言葉に古谷さんも驚いていたようだったが、同時に俺も驚いていた。


 あの小室さんが寂しかったと堂々と言ってしまうなんて……


「だから、あなたの、きもち、わかる」


 そういって小室さんはゆっくりと手を前に差し出して、そのまま古谷さんの頭の上にポンと置いた。


「だいじょうぶ。わたしたち、にんげん。ぞんび、ちがう」


 まるで自分自身にも言い聞かせるように、小室さんはそう言った。

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