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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター6
42/204

闇夜の捜索 3

「さぁ、じてんしゃ。だして」


 小室さんはそう言って自転車を指さした。


「え? 自転車で行くの?」


「そう。こうえん、ちょっと、とおい」


「公園?」


 俺がそう尋ねると小室さんはコクリと頷いた。


 公園というと……俺の家から十分ほど歩いたところにある公園のことだろうか?


 小高い丘と、中央の広場に噴水があるどこにでもあるような公園だ。


「そこに、古谷さんがいるっていうの?」


「そう。あそこ、ひとりになるの、ちょうどいい」


「でも……ゾンビがいるかもしれないよ?」


 俺がそんなビビった発言をすると、小室さんが鋭い視線で俺をにらんだ。


「ぞんび、きけん。だけど、ふるやさん、ひとり。もっと、きけん」


 相変わらず無表情の小室さんのそんな言葉は、俺の心にダイレクトに響いた。


「あ……うん。そうだね」


 そうだ……俺は一体何を言っているんだ。


 そもそも、古谷さんを探しに行こうと言いだしたのは俺の方じゃないか。


 それなのに、今更夜のゾンビが危険だなんてあまりにも馬鹿な発言である。


「……よし。わかった。行こう」


 俺は自転車の歩道に出すと、小室さんに後部に乗るように勧める。


 小室さんはゆっくりとした動作のまま、自転車の後部に乗った。


「じゃあ、行くよ」


「うん。いって」


 俺はゆっくりと自転車を漕ぎ始めた。


 ライトを点けているので、今日の朝、駅前まで行ってきたよりもペダルが重い。


 かといって、ここでライトを点けずに走行するのはあまりにも怖いもの知らずすぎる。


 自然とハンドルを握る手が小刻みに震えているのがわかる。


「あかいくん」


「え? な、何? 小室さん」


「だいじょぶ。ぞんび、いきなりは、とびだしてこない、とおもう」


「あ、あはは……ありがとう」


 その言葉は、気休めにしかならないと思ったが、……確かに案外小室さんの言うとおり、ゾンビは飛び出してはこない。


 これなら何の問題はなく公園まで行ける……そう思った矢先のことであった。


 しかし、問題は公園まで後わずか数メートルの曲がり角で起こってしまったのである。

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