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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター6
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闇夜の捜索 2

 俺がそういうと、小室さんはムッとした顔で俺を見る。


「きけん。よる、ぞんび、どこにいるか、わからない」


「……わかっているよ。でも、俺は古谷さんを探しに行くんだ」


 自分でも信じられないくらいに強い調子でそう言ってしまった。


 俺の言葉に、小室さんは少し驚いているようだった。


 その後、しばらく俺と小室さんの間に沈黙が流れる。


 そして、小室さんはゆっくりと、ため息を吐く動作をとった。


「……わかった。あかいくん、ひとり、きけん。わたしも、いく」


「え? 小室さん……」


 やっぱり小室さんは小室さんだった。


 僕にとっては優しい女の子なのである。


「ところで、あかいくん。ふるやさん、どこ、いるか。わかってるの?」


 そう言われて俺は困った。


 そうだ。俺は古谷さんがどこにいるのかまったくわからない。


 だから、小室さんにそう訊ねられても、答えることができなかったのだ。


「……と、とにかく、探すよ。まだそんなに遠くへ行ってないだろうし」


 俺がそう言うと、小室さんは呆れた視線を俺に向けた。


 俺もあまりにもひどい自分の返答にその続きを何も言えなくなってしまう。


「わたし、ふるやさんのいばしょ、わかる」


「……え? ど、どういうこと? わかるって……」


「わたしたち、にんげん。ひとりになりたいとき、いくばしょ、だいたい、きまってる」


 そう言われて小室さんはそのまま俺の横を通り過ぎて行った。


「ほら、げんかん、あけて」


「あ……うん」


 小室さんにそう言われて俺は反射的に扉を開けた。外は夜空が広がっていた。

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