闇夜の捜索 1
俺は階段を下りてそのままリビングを覗く。
「……あれ?」
しかし、リビングで見た予想に反した光景に、俺は驚いてしまう。
「……いない」
リビングにいたはずの古谷さんの姿はどこにもなかったのだ。
「え……ま、まさか!」
俺はそのままリビングを飛び出し、玄関へと向かう。
「あ……」
玄関のドアを見てみると鍵が開いている。
この状態から考えられることは事といえば只一つである。
「そ……外に出ちゃった?」
考えられる最悪の事態だった。
古谷さんはあろうことか、外に出てしまったのだ。
「ど、どうしよう……どこに行っちゃったんだよ……」
確かに俺はずっと二階に居たし、小室さんも寝室に籠っていたはず。
そうなると、誰も古谷さんが外に出てしまったのに気付かなかったというのも納得できないわけではない。
「どしたの。あかい、くん」
と、そんな折に階段を下りてきたのは小室さんだった。
「ああ、小室さん。古谷さんが……」
「なに。また、おこらせた?」
「違うよ。いなくなっちゃったんだよ」
俺が鬼気迫る感じでそう言ったにも関わらず、小室さんはあまり関心がないと云う風に冷めた瞳で俺を見ていた。
「そう。じゃあ、わたし、ねる」
「え。ちょ、ちょっと! 古谷さん、いなくなっちゃったんだって!」
「……いなくなったのは、かってにでていった、ってこと。べつに、さがしにいく、ひつよう、ない」
小室さんは淡々とした調子でそう言う。
……確かに小室さんの言っていることは間違ってはいない。
だけど、古谷さんは俺のせいでいなくなってしまったのだ。
このまま放っておくわけにはいかないし……何よりも、俺自身が古谷さんに対して、きちんと謝りたいのだ。
「……わかった。俺、古谷さんを探してくる」




