半人、半ゾンビ 6
目の前に置かれたあまり食欲のそそらない献立を、二人で見つめながらもとりあえず食べることにした。
「じゃ、じゃあ、とりあえず食べる?」
「え、ええ……いただきます」
別にいただきますとかいう必要もないほどにろくでもない食事だと思ったが、俺達はどちらでもなく食べ始めた。
コンビニからとってきたのはカップラーメン二十個と各種冷凍食品。
順当に食べていけば二週間は持つだろうと思っていた。
しかし、ここにきて状況が変わった。
もし、これで古谷さんが普通に食事をするとなると二週間どころか、一週間持つかどうかも怪しいレベルだ。
つまり、俺はこのままいくと、また再びどこぞへ食料調達にかないといけないということなのである。
「あはは……美味しいですね」
俺がそんなことを考えていると古谷さんが元気なく笑いながらそう言ってきた。
「え……ほ、ほんとに?」
俺がそう聞くと苦笑いをして古谷さんは俺を見る。
「あ……すいません。やっぱりカップラーメンはそんなに美味しくないです」
「だよね。ごめんね。こんなものしかなくて」
「ああ。いえ。いいんです。久しぶりに食事そのものをしたし……」
「……あのさ。ゾンビって何も食べなくて平気なの?」
俺がそう聞く古谷さんはカップラーメンを啜るのをやめて俺を見る。
「あー……そうですね。たぶん、平気だと思います」
「たぶん? でも、古谷さんはお腹、減ったんでしょ?」
「……感覚的な問題です。私は、ゾンビになってから何も食べてなかったから、そろそろ何か食べたいなぁって思っただけで、たぶん、ずっと食べなくても平気だったでしょうね」
「あ……そうなんだ」
「ええ。だから、今後は食事はとりません。だって、これ、赤井君の大事な食糧なんでしょ?」
「え? あ……うん。まぁ、ね」
俺が気まずそうにそう言うと、青白い肌の女の子は嬉しそうに笑った。




