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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター4
32/204

半人、半ゾンビ 3

 そう言った古谷さんは、俺に対して手を差し出してきてくれた。


 思わず俺はその手を握り返す。


 冷たかった。


 こんなにも死人のような感触……間違いなく、ゾンビ病患者の手の冷たさだった。


「あれ、どうかしましたか?」


「え? あ、ああ……ちょっと、手が冷たいなぁ、って」


「え? そ、そうなんですか? う~ん……私、自分がゾンビになったって実感がなくて……なにか変ですか?」


 何か、変って……肌の色は青白いし……


 しかし、古谷さんは小室さんと違って、その目は死んだ魚のような目ではなかった。


 普通の人間と同じである。それを見ていると、なんとなく俺は安心してしまった。


「あー……うん。まぁ、ちょっと人間とは違うかなぁ」


「そうですか……やっぱり、私、ゾンビになっちゃったんだなぁ……」


「そう。あなた、ぞんび」


 古谷さんが少し落ち込んだ風にそう呟くと、小室さんが間髪いれずにそう言った。


 それを聞いて、古谷さんは小室さんの方を見る。


「え……でも、アナタよりはゾンビっぽくないと思うんですけど……」


「ぞんびに、ていどのさ、ない。あなた、も、わたし、も、ぞんび」


「で、でも、喋り方とか……」


 それを言うと、小室さんが、じっと古谷さんの方を見る。


 古谷さんはその視線が怖かったのか、そそくさと俺の背後に隠れた。


「あ……小室さん。別に古谷さんは悪気があって言ったわけじゃ……」


「……あかいくん、そのこの、みかた」


「え? 味方って……と、とにかく。家に帰ろうよ」


「え? 家、ですか?」


 そのワードを聞いて、古谷さんは俺の方にぐっと近寄ってきた。


 青白い肌のゾンビに急接近されるのは恐怖だったが、可愛い女の子となれば、それは恐怖だけの感情だけというわけでもない。


「あ……うん。俺の家」


「そうですか……その……よろしければ、私もお伴してよろしいですかね?」


「だ、め」


 古谷さんが俺にそう聞いた途端、小室さんが再び、いつもからは想像できないような反射速度でそう言った。

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