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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター3
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ゾンビ・ライフ 2

 俺はそのまま玄関に向かい、扉を開く。


 そして、家の庭先に止めてある自転車に目をやる。


「……二人乗り、できるかな」


 俺が乗る自転車の後部には特に台座のようなものはない。


 だから、小室さんにとっては少々キツい感じになってしまうのではないかと考えた。


「これ、のるの?」


 やがて、ゆっくりと歩いてやってきた小室さんは自転車を指差してそう言った。


「ああ、うん。大丈夫?」


「……たぶん」


 小室さんは短くそう言った。


 あんまり大丈夫に思えなかったが俺はとにかく納得することにした。


 というわけで、俺と小室さんはさっそく自転車に二人乗りして、とりあえず駅まで向かうことにした。


「小室さん。大丈夫?」


 俺は振り返って小室さんを見る。


 小室さんはなんとか、俺の自転車の後部にチョコンと座っている。


 このまま走り出すとお尻が痛そうだが……そもそもゾンビに痛いって感覚があるのかどうかは疑問だったが。


「うん。たぶん」


 相変わらず頼りない返事だったが、小室さんの俺の腰にまわした両手は、ちょっと信じられないくらいに強い力だった。


 なるほど。ゾンビっていうのは人間を食べる時に強い力で対象を抑えつけていた。


 動きは遅いが、一度捕まると逃げるのはちょっと難しいのかもしれない。


「……よし。行くか」


 俺はペダルをゆっくりと漕ぎ出した。無論、不安はあった。


 自転車となれば、間違いなくゾンビ達を引き寄せてしまう原因となってしまうだろう。


 だから、そうなったら、それはもう全力で自転車をこいで逃げるしかない。


 しかし、自転車の速度とゾンビの歩く速度を考えると、二人乗りをしていたとしても十分にゾンビから逃げ切れる程度の速度は出せる。


 俺はそう考えたからこそ、ゾンビ少女と二人乗りをして駅まで向かい始めたのだ。


 二人乗りだというのに思ったよりペダルは軽かった。どうやら小室さんの体重は軽い方らしい。


 もっとも、俺の腰にまわされた手はその体重からは想像できないほど強い力だったが。


「えっと……とりあえず、駅まで行けばいいのかな?」


 俺は振り返らずに小室さんに訊ねてみた。


「う、ん」


 耳の横をすぎる風の音にまぎれて、なんとか小室さんの声が聞こえてきた。


 確認が終わった俺はペダルをこぐ足に力を込めた。

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