学園崩壊 1
「な……なんだ?」
スピーカーから聞こえてきた声……間違いなく平野さんの声だった。
『フフッ……驚いているんだろうが、これは事実だ。君たちは優良な実験体だったよ』
「な……何を言っているの、アイツは……」
どうやら、黒上も完全に予想外だったようである。
俺と小室さんは思わず顔を見合わせてしまう。
『ただ……君たちには悪いが、実験のデータは十分に取れた。よって、実験は終了だ。私はこれにて退散させてもらう。諸君らも早く逃げると良い。最も逃げれれば、の話だがな』
それだけ言うと、平野さんの放送はブチッと切れた。生徒会室では俺と小室さん、そして、黒上が呆然としている。
「……一体どういうことなんだ?」
俺が漸く口を開くと、黒上は青ざめた様子で俺と小室さんを見る。
「……アイツ、もしかして――」
その瞬間だった。
バァンっ! とけたたましい爆発音が響いた。俺と黒上は思わず耳を塞いでしまう。
「な……何っ!?」
黒上が不安そうな顔で俺に訊ねる。爆発音は……校舎の裏側……丁度、俺たちがやってきたバスが置いてあると思われる場所から聞こえてきた。
「まさか……今の爆発……」
そして、程なくして学園の内部からも小規模の爆発音が聞こえてきた。
それとともに、学園の下の方からは悲鳴も……
すると黒上は即座に机の上に置きっぱなしになっていた拳銃を手にし、俺と小室さんに向ける。
「は……早く私を連れていきなさい!」
「え……つ、連れて行くって、どこへ?」
「あ、アナタ達の仲間がいる場所よ! も、もうこの学園は……私の支配下にはないわ! もう……安全な場所じゃないのよ!」
銃を突きつけたままそういう黒上であるが……手は震えている。俺は小室さんを見る。
「……とにかく、一端紫藤さんと古谷さんのもとに戻ろう」
俺がそう言うと小室さんは小さく頷いた。俺は小室さんの手を握って走り出す。
「あ! ま、待ちなさい! お、置いて行かないで!」
俺と小室さんが生徒会室を飛び出すと、半分涙声になりながら、黒上が俺たちの後を追ってきたのだった。




