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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター29
178/204

地獄からの脱出計画 1

「……マジか」


 俺は思わずつぶやいてしまった。既に校庭に投げ出された死体には大勢のゾンビが蟻のように群がり姿が見えなくなっている。


「ああ。マジだ」


 平野さんがそう言う。


 俺は振り返って平野さんを見た。


「……狂ってます。アイツら」


「ああ。そうかもな」


 そう言うと平野さんはチラリと扉の方を見た。そして、そのまま扉に近づいていく。


「おい」


 そして、そのまま思い切りよく扉を開けた。


「ひっ……な、なんだ?」


 すると、その先に立っていたのは白衣の不健康そうな少女……谷内だった。


「……患者は重体だ。お前は教室に戻っていろ」


「なっ……わ、私に、命令……するのか? お、お前、自分の立場、わかってんのか……?」


 ひきつったような笑みを浮かべながら、谷内はそういって銃を取り出した。しかし、平野さんは動揺しない。


「ああ。私はこの学校の中では保健医の立場を預かる存在だからな。その私が言うんだ。患者は重体だ。よってそれ相応の処置が必要となる……お前がいつまでも保健室の前にいちゃ目障りだ」


 平野さんがそう言うと、谷内はかなり戸惑っているようだった。そして、保健室の中を覗きこむ。


「あ……お、お前!」


 と、そういって指さしたのは俺……ではなくて、古谷さんだった。


「え? 私ですか?」


「そ、そうだ……お前は、もう、私と教室、戻る……!」


 そういって銃を振り回す谷内。


「後……お、お前もだ……ゾンビっぽいヤツ……!」


 そういって小室さんのことも指差す谷内。


「ああ。ダメだ。小室くんも処置の必要がある」


 と、平野さんがそこで割って入った。谷内は怪訝そうに平野さんを見る。


「……なぜ?」


「ゾンビ病が進行している可能性があるからな。いいのか? お前と廊下を歩いている最中に、お前に噛み付いてくる可能性だってあるぞ?」


 平野さんが半ば冗談っぽく言っているのはわかったが、谷内はそれを本気で受け止めたようだった。


「うう……仕方ない。お前、私と帰るぞ」


 そういって古谷さんを指さす谷内。古谷さんは俺のことを見てから小さく頷く。


「……小室さんのこと、頼みます」


「……ああ。わかっている」


 そういって古谷さんは銃を構えたままの谷内の方へ近寄っていった。


「……平野。処置終わり次第、ゾンビっぽいやつ、連れてこい……! いいな?」


「はいはい。わかりましたよ。生徒副会長様」


 谷内は不機嫌そうに俺と平野さんを見た後で、そのまま古谷さんとともに廊下を歩いて行った。


「……さて、邪魔者もいなくなったし、これからのこと、話し合おうか」


 谷内がいなくなったのを確認してから、平野さんは残った俺達3人にそう言ったのだった。

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