表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター28
177/204

退学処分

「……え? これって……」


「ああ。黒上の声だな」


 平野さんは立ち上がると、窓の側に近寄っていく。


『さて……本日は1人。退学者が出たことをお知らせするわ。愚かにも校則を破り、私に反逆した生徒ね』


「……え? それって……」


 俺は思い出していた。先程、川本に連れられて階段を登って行ってしまった角田のことを。


「退学者って……ど、どうなるんですか?」


『校則を破った退学者にはもちろん、退学してもらいます。私としては自主退学を望んでいるんだけれど……捕まえてしまった以上、強制退学になるわね』


 俺の問いかけには、スピーカーを通して黒上が答えてくれた。


 しかし、退学って……どういうことだ? この学校から追い出されるってことか?


「退学というのは……死刑だ」


「……え?」


 平野さんは淡々とそう言った。


「言ったとおりだ。退学者は、屋上からこの真下……地獄に突き落とされる」


 そういって、平野さんはそれまで閉めきっていたカーテンを思いっきり開いた。


 俺と古谷さんは窓際近くまで行ってから、下の光景を覗きこむ。


「……え」


 俺は思わず声を漏らしてしまった。


 そこはまさしく地獄だった。


 それこそ、埋め尽くさんばかりのゾンビが校庭一杯に溜まっていたのである。


「ちょ……ちょっと待ってください。それじゃあ――」


『さぁ。すぐに退学は開始されるわ。皆も見ておきなさい。生徒会長である私に楯突いたものが、どうなるのかを』


 黒上がスピーカーからそう言った直後であった。


 人影が、窓の上から落ちてきた。


 それは、勢い良く地面の方へ落下していくのがわかった。俺は思わず窓を開けて身を乗り出す。


「……嘘だろ」


 角田がどうかはわからなかった。だが、窓の下の校庭には、紛れも無く生徒が落ちていたのだ。


 落下した生徒の近くには、既に大勢のゾンビが近寄ってきていた。まさしくそれは、地獄の光景だった。


『さようなら、元生徒会長の角田君』


 そういってスピーカーはブツリと音を立てて、黒上の声は聞こえなくなったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ