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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター28
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ジャージ組の戦い 9

「なんだ、川本。お前、また喧嘩してたのか」


 呆れた調子で、平野さんがそう言う。


 しかし、川本はその鋭い瞳で平野さんを睨む。


「……貴様。何度言ったら分かる。これは喧嘩などではない。会長閣下に楯突く者に対する制裁なのだ」


「制裁ねぇ……あれ? 川本。お前、その腕の傷どうした?」


 そう言って平野さんは、紫藤さんが川本の腕に噛み付いた時にできた傷を不思議そうに見つめていた。


「……なんでもない。お前には関係のないことだ」


 そう言うと、川本は角田を睨みつける。


「角田。わかっているな。校則違反の罪はお前が受けるのだ」


 角田は悲しそうな顔で川本のことを見ていた。そして、ゆっくりと頷いた。


 すると、そのまま川本は階段の方へ歩き出した。角田もその後に続く。


「え……ちょ、ちょっと。どこへ……」


 俺が呼びかけると、角田は悲しそうな顔で俺と紫藤さんを見た。


「……椿先生を、頼む」


 それだけ言い残し、角田は川本とともに階段を登って行ってしまった。


「いやぁ。しかし、さっそく喧嘩しちゃうとは思ってなかったけどねぇ」


 川本がいなくなった後で、平野さんが俺と紫藤さんに話しかけてきた。


「へっ……刀なんて持ってなきゃ。噛み付くだけじゃなくて、アイツに勝てたんだ」


「何!? 噛み付いた!?」


 紫藤さんが何気なくそう言うと、平野さんは眼を丸くして大声でそう確認した。


「あ……ああ。噛み付いた」


「……ふふっ。そうかぁ。なるほどねぇ。よし。君たち二人、私と一緒に保健室に行こう。刀で刺された君の手当もしないといけないからな」


 そういって平野さんは歩き出した。


「あ……あの」


 と、俺はその背中に呼びかける。


「ん? どうしたんだい?」


「その……他の二人と逢うことはできますか?」


 俺がそう言うと平野さんは少し考えた後で、ニッコリと微笑んだ。


「ああ。とにかく、保健室に行こう」


 俺は紫藤さんに肩を貸して、平野さんに付いて行くことにしたのだった。

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