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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター28
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ジャージ組の戦い 8

「なっ……なんで……」


 紫藤さんは口から血を流しながら、苦しそうにしている。


「紫藤さん!」


 俺が叫ぶと同時に、川本は得意気に微笑んだ。


「ふっ……これが貴様と私の違いだ。私はゾンビになったのではない。新たな人類として進化したのだ。そして、その力は、我が会長閣下のためにこそ使われるべき力で――痛いっ!」


 川本が話しているその際中だった。


 紫藤さんはなんと刀が胸に突き刺さったままで、そのまま川本の腕を掴み、そこに噛み付いたのだった。


「き、貴様!」


 川本はその瞬間、紫藤さんの胸から刀を引き抜き、そのまま思いっきり紫藤さんを蹴り飛ばした。


「紫藤さん!」


 俺は蹴り飛ばされた紫藤さんに駆け寄った。胸からは血が流れている。


「大丈夫!? 紫藤さん」


 俺が呼びかけると、紫藤さんは苦しそうにしながらも、俺に笑顔を見せる。


「へっ……俺は転んでもタダでは起きないんでね……アイツに、一発かましてやったぜ……!」


 紫藤さんらしい……俺は思わず笑ってしまった。


 しかし、状況は笑えない状態であった。


「き、貴様……私の身体に傷をつけるなど……!」


 声がした方を振り返ってみると、川本が怒りの形相で刀を握りしめている。


「あ……ちょ、ちょっと待って! もう勝負は着いたよ!」


 俺が慌てて言っても、川本はまるで興奮した獣のように、俺達を睨んでいる。


「ゾンビといえど……首を切れば死ぬ……そこにいる人間と一緒に叩ききってやる!」


 そういって川本は刀を振り上げた。俺はあまりのことに物事を認識できていなかったが、今度こそ、死んだ、と思った。


 その時だった。


「おーい、何やってんだ?」


 と、階段の方から聞き覚えのある声がした。


「……平野」


 川本が刀を下げる。俺と紫藤さんも同時にそちらを見る。


「なんだ? 喧嘩か? ダメだぞ。学校内での喧嘩は」


 相変わらずの間延びした調子で顕れたのは、白衣を着た平野さんであった。

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