ジャージ組の戦い 7
「……ホントに川本と戦う気なのか?」
椿先生との一件があったあと、俺達は廊下を歩きながら、川本を探していた。
角田は先程から信じられないという様子で紫藤さんに度々確認を取っている。
しかし、当の紫藤さんは面倒くさそうに角田を見るだけである。
「ああ、そうだよ。ったく……心配すんなって、もうこっちは死んでんだ。これ以上死ぬことはないだろ?」
「だが、ゾンビといえど首を切断されたり、胴体を切断されれば……」
嫌そうな顔で角田は言う。紫藤さんは大きくため息をついた。
「あのなぁ……俺があんなヤツにそこまでやられると思うか? なぁ、赤井」
「え……あ、えっと……紫藤さんならなんとかなる……かな?」
正直、俺もよくわからなかった。紫藤さんが言うように、先程、川本が紫藤さんを攻撃してきた時は、完全に不意打ちだったし……
「おい! そこで何をしている!?」
と、不意に声が聞こえて来た。見ると、前方に刀を腰にさした川本が立っている。
「川本……」
角田は怯えた様子で呟いた。
「角田……なんだ。掃除は終わったんじゃなかったのか?」
イラツイた様子で川本は俺と紫藤さんを見る。
「あ……え、えっと……」
しどろもどろになる角田を他所に、紫藤さんはボキボキと拳を鳴らしている。
「すまねぇな。生憎、俺と赤井はゴミじゃないんでね……それより、アンタ、俺と一つ喧嘩でもしてみないか?」
紫藤さんがそう言うと、川本は鋭い視線で俺と紫藤さんを見ていた。その視線は、確かにゾンビとは思えない……まるで鋭い刃のような視線だった。
「……仕方ない。私自身が直々にお前たちに指導を与えてやろう」
「へっ。悪いが、俺は不良だからよ。簡単に指導を受けるつもりはないぜ?」
すると、川本は刀を抜き、そのまま紫藤さんに向かって構えた。
紫藤さんも、拳を構え、川本に対峙する。
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
そういって紫藤さんはそのまま川本に殴りかかっていった。
しかし、次の瞬間、川本の姿は紫藤さんの前から消えてなくなっていた。
「……え?」
俺も紫藤さんも同じくそう声を漏らしてしまった。
「あ! 紫藤さん後ろ!」
俺が思わずそう叫んだ時には、紫藤さんは、背後からまたしても刀の先を突き刺されていたのだった。




