表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター28
169/204

ジャージ組の戦い 3

「な、なんだよ、この教室……」


 先ほどまでの威勢はどこに行ってしまったのか、紫藤さんは怯えた様子で俺の腕にしがみついている。


「ここはねぇ……お掃除教室よ。ほら。こんなに汚れちゃっているでしょ? いくら掃除しても汚れちゃうから定期的にお掃除しているのよ」


 先ほどまでのテンションと打って変わって、低い調子で椿先生はそう言った。


「え、えっと……この教室大丈夫なんですか? 窓ガラスとかも割れちゃってますけど……」


 思わず俺がそう訊ねると、椿先生はなぜかニッコリと微笑む。


「ええ。そのためのお掃除教室ですもの」


 その答えには意味がわからなかったが、俺はなんとなくものすごく嫌な予感がした。


「な、なぁ、赤井……こんな教室さっさと出ようぜ。気味が悪い……」


 相変らずこういう系は紫藤さんはダメみたいである。


「そ、そうだね……えっと、椿先生、ちょっとこの教室は……」


 カチャッ。


 と、俺と紫藤さんが教室から出ようとした時だった。


 いつのまにか閉められていた扉に、鍵がかかる音がしたのである。


「え……な、何?」


 俺は扉を開けようとする。しかし、教室の扉は完全に閉まっていて、開く気配はない。


「お、おい! 角田か? てめぇ、なんのつもりだよ!?」


 紫藤さんが叫んでも、扉が開く気配はない。


「え……角田?」


「……すまない。許してくれ」


 扉の向こうから角田の済まなそうな声聞こえて来た。


 其の瞬間だった。


 ブォォン! と、まるで車のエンジンが勢い良くかかるような音が聞こえて来た。


 教室の中で何の音だ、と思ったが……その音は


「え……?」


 俺と紫藤さんは振り返る。


「さぁ……お掃除……しましょうね♪」


 振り返った先にいたのは、けたたましい音を立てながら起動している園芸用のチェーンソーを手にした椿先生であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ