ジャージ組の戦い 1
「そっかぁ……2人は新入生なんだね……」
そういって心配そうな顔で俺と紫藤さんを見る椿先生。
「え、ええ……先生はずっとこの学校に?」
「そうよ。皆と救助を待っているの。それまでは私が責任者……だから、私がしっかりしないとね!」
そういって笑顔を見せる椿先生。しかし、紫藤さんは面倒くさそうに椿先生を見ている。
「……なぉ。先生よぉ。先生だったらなんであの生徒会の奴等の横暴を許しているんだよ?」
紫藤さんがそう言うと、椿先生はポカーンとしている。
「あ……ちょ、ちょっと君たち、いいかな?」
と、俺達が話している間に割って入ってきたのは1人の男子生徒だった。
眼鏡をかけていかにも優等生という感じである。
「あ? なんだよ、てめぇ」
「い、いいから」
そういって男子生徒は俺たちを部屋の隅に連れて行く。
「え……な、何?」
「……えっと……君たちは生徒会の奴等に会ったんだな?」
「ああ、会ったぜ。それがどうかしたかよ?」
紫藤さんがそう言うと、男子生徒は大きくため息をつく。
「そうか……僕は、この学園の元生徒会長の角田だ」
「え……元?」
「ああ。彼ら……つまり、黒上達は元々生徒会なんかじゃない。ミリタリー研究会だ」
角田という男子生徒がそういうのを聞いて、なんとなくだがその話は納得できた。
「はぁ? じゃあ、お前はどうしてこんなところにいるんだよ?」
「それは、奴等がこの学園を支配しているからだ。奴等には逆らえない……だから、僅かに残った僕達もここで救助を待つしか無いんだ……」
それを聞いて、俺は今一度部屋の中の生徒たちを見回す。たしかに、皆希望もなく生気もなくうなだれている様子だ。
「なんじゃそりゃ……大体、先公がいるのにどうして生徒が支配権を握っているんだよ? あの先公どうにもほわほわしてるし――」
「椿先生を悪く言わないでくれ」
と、紫藤さんが喋っている最中に、角田はそれを遮ってそう言った。
紫藤さんと俺は思わず顔を見合わせてしまう。
「……はぁ? 何だお前、あの先公に気があるのか?」
「違う。信じられないだろうが……ここにいる僕達は椿先生に救われたんだ。椿先生を悪く言うことは許さない」
角田はきっぱりとそう言った。さすがの勢いに紫藤さんも少し驚いている様子だった。
「……はっ。そうかい。まぁ、俺はどうでもいいぜ。さっさとあの生徒会のアホどもを倒さなくちゃ行けないからな」
「……残念だがそれは無理だ。それに君たちは――」
と、角田が何か言おうとした時だった。
「さぁ! 皆、そろそろお掃除の時間ですよ~」
そういって椿先生が生徒たちに向かってそう言う。生徒たちは元気のない様子で先生を見る。
「今日の当番は私と角田君……そして、新入生の2人です♪」
そういってニッコリと笑う椿先生。それとは対照的に角田は悲しそうな顔で俺たちを見ている。
「……悪く思わないでくれよ」
「え?」
そういって角田は俺達から離れていった。
「なんだ? アイツ?」
紫藤さんも俺も分からないこと相変らずわからないことだらけなのであった。




