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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター27
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学校行きのバス 2

「さぁ……早く乗れ」


 白衣の女の子に言われるまま、俺達四人はバスに押し込められた。


「……ん? なんだ。新しい子か」


 と、バスの運転席にいた人が俺達を見て口を開いた。


 見ると、先程の女の子同様に白衣を着ているが、こちらは綺麗な白衣の女の人だった。


 おまけに髪の毛も長く綺麗だ。


 ただ、眼鏡の下の眼にははっきりと分かるくらいに濃いクマがあった。


 見た目的には宮本さんと同年齢くらいの人に見えるが、宮本さんと違って大人の女性という感じがした。


「あ……ど、どうも」


「ふむ……君は、人間か。お。後の子は全員ゾンビか。珍しいな」


 なぜか嬉しそうにそういう白衣の女の人。


 小室さん、紫藤さん、そして、古谷さんも困惑したように顔を見合わせる。


「フフッ。なぁに、心配するな。私は、平野アサミ。事情があって、今は学校の保健医とかバスの運転手とか……まぁ、色んな雑用をやらされている。しかし、本業は医者だ」


「え……医者?」


 その時、夕樹さんの言ったことを俺は思い出した。


 この状況を打開する手がかり……もしかして、この平野とかいう人がその鍵を握っているんじゃなないのか?


「おい……いつまで喋っている。さっさと、座れ」


 そういって先程の白衣の女の子が俺に銃を向けてきた。


 すると、平野さんはプッとなぜかおかしそうに吹き出した。


「なっ……お、おい! なぜ笑う!」


 顔を真っ赤にして白衣の女の子は平野さんに食って掛かった。しかし、平野さんは何喰わぬ顔でヘラヘラと笑っている。


「え? ああ……すまん。そんな玩具の銃で脅されているのもなんだかなぁ、って思ってね」


「え……おもちゃ?」


 思わず俺は驚いてそう言ってしまった。白衣の女の子はいらだたしそうに平野さんを見ている。


「ああ……だが、平野。お前の脳天を……撃ちぬくことが出来るおもちゃだぞ」


 女の子は精一杯低い声でそういって、銃口を平野さんに向ける。しかし、平野さんは相変らず平気そうだった。


「ああ。そうだな。違法に威力を強度したエアガン……まさかそんな危険なものが役に立つ世界になってしまうとはねぇ……」


 なぜか人事のようにそういう平野さん。なんだか掴み所のない人だなぁ、と俺は思った。


「……お前と話していると、調子が狂う」


 白衣の女の子も同様だったのか、そういって俺達四人が座っているバスの前方の席の近くに座った。


 俺達が座ると、ジャージ姿の集団は俺達の後方に座ることになった。


 そして、全員が乗り込むと、扉が閉まる。


「よし。それじゃ、出発」


 平野さんがそう言うとバスはエンジンを震わせて、ゆっくりと動き出した。


 目の前のデパートがゆっくりと後方に下がっていく。


 俺達四人は、半ば強制的にではあったが、デパートから脱出したのであった。

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