突如の異変 4
二階の非常口までは訪れた謎の集団に遭遇せずにやってくることができた。
なんとか無事にデパートから離れられそうだ……俺はそう思って安心していた。
「あれ?」
と、非常口まで後少しというところまで来たその時だった。
「……夕樹さん?」
非常口の前までやってくると、そこには夕樹さんの姿があった。
「あ。やっぱり来ちゃった」
俺達のことを夕樹さんも確認したらしい。ニヤリと微笑むと俺の方を見た。
「え……夕樹さん。なんでこんなところに?」
「はぁ……わかんないかな? アンタ達……っていうか、ドーテー君なら絶対ここに来る……それがわかっていたからよ」
夕樹さんはそう言って俺ではなく小室さん、そして紫藤さんと古谷さんを見る。
「悪いわね。アタシもいい加減こんな状況うんざりなのよ。自分がゾンビになっていたとしても、もう一度打開する鍵を掴みたい……それが出来るならば手段なんて選んでいられないのよ」
「え……それってどういう――」
「ヒ、ヒヒヒ……こういうことだ……」
背後から聞こえて来た不気味な声。俺は思わず振り返る。
そこにはいつの間にか多数のジャージ姿の男女と、白衣の不気味な女の子立っていたのだ。
女の子のその手には先程見た黒い銃が握られて、その銃先は俺達に向けられていた。
「き、君は……」
「……さぁ、副会長さん! これでいいでしょ! これで私も学校に復学――」
俺が動揺していると、夕樹さんが白衣の女の子にむかって叫んだ、その時だった。
かつて、宮本さんが頭を撃ちぬいた時と同じような音が、デパートの中に木霊した。
「え……」
見ると、女の子は銃の引き金を引いていた。そして、夕樹さんの額には見事に穴が会いていたのだった。
「ヒヒヒ……復学? そんな制度……我が校には存在しない……」
そういって白衣の女の子は不気味な笑みを浮かべて、俺達の方に振り返る。
「もちろん……新入生は……大歓迎……!」
その時、俺はようやく、自身が置かれた状況が、不味い方向に転がり出したことを悟ったのだった。




