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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター26
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突如の異変 2

「……人って……そんなに沢山来たの?」


 俺達はそのまま一階へと向かっていた。


「ええ。しかも、タダ事ではないですね」


「え……なんで?」


「持ってんだよ! 銃!」


 紫藤さんも酷く取り乱している。


 銃……銃だって? さすがにゾンビ映画ならわかるが……銃を持っている人間なんて早々いるなんて思えない。


 でも、紫藤さんが嘘を付くとは思えないし……


「で、小室さんは?」


「一階でソイツらを見張ってます。何かあったら隠れる様に言いました」


 一階へ着くと、壁際になぜかデパートの入り口を見張っている小室さんの姿がすぐに見えた。


「小室さん……大丈夫?」


 駆け寄って行くと、小室さんは口元に人指指を立て、騒がないようにと指示した。


 俺達はゆっくりと、音を立てないようにしながら小室さんに近づいていく。


「……で、状況は?」


 俺がそう訊くと、小室さんはゆっくりと手を動かし、入り口の方を指さした。


 見ると、そこには何人かの男女が立っていた。


 大体俺達と同い年くらいに見える……というか、同年代だろう。


「生存者……だ」


 思わず間抜けにそう言ってしまった。


「ですが……なんだか違和感ありますね」


 と、古谷さんが嫌そうな顔で言った。


「ああ……特にあのチビ……厄介な感じがするぜ」


「チビ?」


 俺が紫藤さんに訊ねると、紫藤さんも学生たちの方を指さす。


 集まっている男女をよく見ると、皆なぜかその格好は体育の授業で着るようなジャージ姿であった。


 そして、その集団の少し前方に、小さな女の子が立っていた。


 その風体は少し特殊だった。


 女の子は制服の上にところどころシミがついた汚らしい白衣を来ており、その長く黒い髪も、手入れをまったくしていないようでボサボサだった。


 なんというか……不気味な感じの女の子だったのだ。


「では……探索活動開始……ヒヒッ……十分以内に帰ってこない場合は……置いていくので……そのつもりで……」


 と、不気味な女の子は気持ちの悪い喋り方でそう言った。


 固まっていたジャージたちは嫌そうな顔で女の子を見る。


「……さっさと行動……開始……!」


 そう言うと不気味な女の子は白衣の内側から黒い何かを取り出した。


 それは、確かに紫藤さんが言ったように、銃の形をしていた。


 女の子が銃を見せると同時に、ジャージ姿たちは散開した。俺達はジャージたちがこちらに来るのを見計らって二階へ避難した。


 あんなに多くの生存者……俺の脳裏には夕樹さんが言った「学校」という言葉が浮かんでいたのだった。

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