選択の時
とりあえず、俺と小室さん、そして、紫藤さんと古谷さんは話し合うことにした。
「……で、どうするんだよ?」
紫藤さんが俺に訊いてくる。
「どうするって……うーん……」
結構これは重要な選択だと思った。
学校……実際行ってみないとどうなっているかわからない。
けれど、夕樹さんの言葉を信じれば……あまり行かない方が良い場所のような気がする。
かといって、ずっとここにいても仕方ないような気がするし……
何より、夕樹さんが言っていた鍵となる人物。
この状況を打開する……その言葉は俺にとってあまりにも魅力的すぎた。
俺だって、さすがにこのままこの状況がずっと続くのは……どうかと思うからだ。
「そもそも、夕樹さんの言っていることが真実かどうか定かではありません。本当に……学校に行っても大丈夫なのでしょうか?」
古谷さんもあまり乗り気ではないようである。
俺は思わず小室さんの方を見る。しかし、小室さんは無言で俺のことを見返しているだけである。
「え、えっと……古谷さんと紫藤さんはどう思うの?」
俺はそこで思わず2人に訊ねてしまった。
夕樹さんの件の反省……2人の意見もちゃんと聞こうと思ったからだ。
「え……いや、俺は……お前の決定に従うぜ」
「え? 俺の? だって……危険かもしれないよ?」
「ああ、そうだな。でもまぁ、この選択はさっきの性悪女の件とは違う。誰の意見が正しいなんてこともないと思う。だから、俺は、赤井の決定に従う、って意見だ」
紫藤さんはそんなことを堂々と言った。むしろ、紫藤さんとしては俺が意見を聞いたことに対し満足しているようだった。
「私は……反対ですね」
と、そういったのは古谷さんだった。
「古谷さん……」
「でも、これはあくまで私個人の意見ですから……私も赤井君の決定に従いますよ」
「え……古谷さんまで……」
すると、古谷さんは少しニヤリと微笑んだようだった。まるで俺を試しているかのような……そんな感じにも思えてしまった。
俺は少し困り気味に小室さんを観る。
すると、小室さんは俺のことをジット見てきた。
「あ……小室さん」
「あかいくん、きめて」
小室さんははっきりとそう言った。
そうだ。俺が決めるのだ。小室さんは俺に言ってくれた。
信用すること……おそらく、俺がここでどんな選択をしても、3人は俺に付いてきてくれるだろう。
その先に何が待っていても……
今こそ選択の時なのだ、と。




