今後のこと
「で? マジなのかよ、その話」
それから、夕樹さんを目の前にして、俺達四人は今後の計画を話しあった。
「ゆうきさん、うそ、ついてない。まじ、で、いっている」
「まじ、って……コイツは赤井を食おうとした奴だぜ? そんなヤツの言うこと信じるのか?」
古谷さんも紫藤さんもあまり夕樹さんの話を信用していないようだった。
俺と小室さんだけが、今後、学校へ向かう方針を主張している感じだった。
「……別に、信用しなくていいけど、アンタ達、これからどうするつもりだったのよ?」
と、夕樹さんが俺達に対して最もなことを言ってみせる。
互いに顔を見合わせてみて、確かに今後のことはノープランだったことに気づく。
「……そ、それは、今後考えるつもりでした」
古谷さんが精一杯の返しをしてみるが、夕樹さんは馬鹿にしたようにニヤニヤと古谷さんを観る。
「あのねぇ……いい? 別に私のことは信用しなくていいわ。でもね、あの学校には確実にこれからどうするかを知るための手がかりを持ったヤツがいたの。それをわざわざアンタ達に教えるって意味、少し考えてよね」
「え……夕樹さん、その学校にいたの?」
俺が訊ねると、夕樹さんは頷いた。
「ええ、あと少し、ってところで、アイツ等に追い出されたけどね」
「アイツラって、誰?」
「誰って……生徒会の奴等よ」
夕樹さんは忌々しげに顔を歪めてそう言った。
生徒会……この極限状況下において、なんだか酷く似合わない言葉だった。
「え……なんで生徒会が?」
「なんで、って、私がいた学校は生徒会が支配していたからよ。アイツ等さえいなければ、今頃あの保健医から話を聞き出していたのに……」
「保健医? 保健の先生が何か知っているの?」
俺がそう訊ねると、夕樹さんはわざとらしく大きくため息をついた。
「ドーテー君は先走って嫌ね……だから、その保健医ってのはただの保健医じゃないの。総合病院の先生だった人なのよ。その人はどうやら、この状況を打開する鍵となる情報を知っているらしいのよね」
「鍵……じゃあ、その人に会えば……」
「ええ。でも、その人に会うのが大変なのよ生徒会の奴等がその先生を学校に閉じ込めて、情報封鎖をしてんのよ」
「情報封鎖? な、なんで?」
俺が訊ねると、夕樹さんはニヤリと微笑む。
「あのねぇ、ドーテー。君、やっぱり想像力がドーテー並よ。今のこの世界にはね、元の世界に戻ってほしくないと思う奇特な奴等が、一定数いるわけなのよ」




