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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター25
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優柔不断の代価 3

 俺はそのまま小室さんの所ヘ行くことにした。


 それにしても……夕樹さんと2人だけにしてしまっていて、大丈夫なのだろうか。


 今更ながら俺は心配になってきて、向かう足も少し早くなる。


 エスカレーターを駆け上がり、そのまま先ほど夕樹さんと捕らえておいた場所へと向かった。


「え!? アンタ、それマジで言っているわけ!?」


 と、いきなりなぜか大きな声が聞こえて来た。


 この声……夕樹さんのものである。


 俺は先ほどまで急いでいた足にブレーキをかけ、ゆっくりと、近づくことにした。


「まじ……そう。しんけん。わたし、しんけんにそういっている」


 もう一人の声……聞こえて来たのは小室さんの声だ。


 いつもとおりの無機質で単調な話し方である。


「あのねぇ……アンタ、それはさすがに言った方がいいわよ」


 どうやら夕樹さんと小室さんはなにかを話しているらしい。


 何を話しているのかはわからなかったが。


「いったほうがいいって……いわれても、わたし、こまる」


「アンタが言わないならアイツには私が言ってあげるわよ。だって、それって可笑しいわよ。キチンとはっきりさせたほうがいいに決まっているじゃない」


 なんだか小室さんが夕樹さんに怒られているようである。


 それにしてもアイツというのは、もしかして……俺のことだろうか?


「……でも、あまりあかいくん、こまらせたくない」


「困らせるとかそういう問題じゃないの。アンタも含めて、アンタ達はあのドーテー君を甘やかしすぎているのよ。ここらへんでビシっと言わないと」


 ドーテー君……やっぱり俺のことのようである。


 俺は今度はゆっくりと小室さんと夕樹さんの方に近づいていった。


「……そこで覗き見ているドーテー。わかってんのよ?」


 と、いきなり夕樹さんがこちらを振り返って俺を観る。


 いきなりのことに俺はその場で動きを止めてしまった。


「え……な……なんで?」


 俺が困惑していると、夕樹さんは得意げな顔で俺を観る。


「フンッ。私は自分の体温を変化させることもできる上、周囲の生物の体温も感知できるのよ。もっとも、それは体温変化のある人間限定で、ゾンビの気配は察知できないんだけどね」


「あ……だから、紫藤さんのことをわからなかったのか……」


「そうよ。それより……アンタちょっとこっちに来なさい」


 そういって、夕樹さんは俺のことを手招きする。


 一緒にする小室さんも不思議そうに俺のことを見ていた。


 俺は仕方なく夕樹さんと小室さんに近づいていったのだった。

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