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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター24
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リカちゃんの囁き 2

「……何言ってんだ? お前」


 紫藤さんが呆れ気味にそう言う。


 しかし、夕樹さんは特に動じることもなくニタニタと笑っている。


「だって……そうじゃない? アンタ達、私がゾンビだってこと、気付いてたんでしょ?」


「え……そ、それはまぁ…そうだけど……」


 紫藤さんはそういって古谷さんの方に顔を向ける。


「ええ。そうです。アナタが最初からゾンビであることは、私達は確信していました」


 古谷さんがそうはっきりと言うと、夕樹さんは嬉しそうに笑った。


「な……何がおかしいんですか?」


「だって……アンタ達、私がゾンビだってこと、ドーテー君に言ったんでしょ?」


「え、ええ。言いました」


「でも、ドーテー君はアンタ達の話を信じないで私と会おうとした……これって、変じゃない?」


 そういって夕樹さんは舐めるような視線で俺を見てきた。


「え……そ、それは……だって、夕樹さんが……」


「でもさぁ、アンタ、コイツらに私がゾンビだってこと、言われてたんでしょ? それなのに無視するの、おかしくない?」


 そう言われてしまうと、反論できなかった。


 紫藤さんも古谷さんも、俺に夕樹さんがゾンビであることは十分に注意しれくれた……それなのにそれを無視して夕樹さんに俺は会いに行ったのだ。


 結果として古谷さんの提案がなければ、おそらく俺は……


「それは……赤井君がお人好しなだけです。そもそも、だからといって私達を騙そうとしているなんて……どう話が繋がるんですか?」


「……もう、ドーテー君、嫌なんじゃないの?」


 と、夕樹さんはボソリと、だが、その場にいる全員に聞こえるように囁いた。


「え……な、何が嫌だって……」


 俺が思わず訊ねると、夕樹さんはこちらを見て、怪しげな笑みを浮かべる。


「……こんなゾンビ共と一緒にいたくない、ってことよ」

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