表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター24
137/204

彼女はゾンビ? 9

「夕樹さん! あれ……おかしいな……」


 古谷さんの提案を受け、俺達は一旦別れていた。


 古谷さん達を別れた俺は、先程まで夕樹さんがいたはずの場所まで戻ってきていた。


 しかし、夕樹さんの姿は見えない。


「夕樹さん……夕樹さん!?」


 俺は大声で夕樹さんの名前を呼んだ。しかし、返事はなかった。


「……どこに行ったんだろう……もしかして、トイレとか?」


 俺は少し嫌な予感がした。


 ふと思いついた場所であるトイレ……ゾンビ映画ではかなり危険なポイントである。


 というか、そもそも俺は小室さんとの出会いだって、俺がトイレに逃げ込んだから起きた出来事なのだ。


 でも、トイレに逃げ込まなければ小室さんにも会えなかったし……


「……よし、行こう」


 俺にとってはトイレはもしかするとラッキーポイントなのかもしれない。


 そんなことを考えながら、俺はトイレを目指す。


 程なくしてトイレにたどり着くと、既になにやら様子がおかしかった。


「……なんか、音が聞こえるな……」


 ブチッ、ムシャ……なんとなくだが、あまり聞きたくないタイプの音が聞こえてくる。


 というか、トイレの前についた時点で俺はなんとなく予想ができてしまった。


 そして、古谷さんが言っていたことが正しかったということを。


「……いや、だったら……」


 だったら、尚更だ。夕樹さんは小室さん達と「同じ」なのだ。恐怖する必要はない。


 俺はそのまま女子トイレの中に入っていく。


 ゆっくりと顔をのぞかせると、奥の個室のドアが開きっぱなしになっていた。


 件の音は、そこから聞こえて来ているのである。


「ゆ、夕樹さん……?」


 俺が呼びかける。すると、肉を引きちぎるような音は収まった。


「夕樹さん……いるんだよね?」


 俺がそう言うと、トイレの個室から物陰が出てきた。


「ひっ」


 俺は思わず声を漏らしてしまった。


「……あー……なんだよ。くそっ……ったく、女子トイレに入ってくる? 普通? あり得ないんですけど……」


「え……ゆ、夕樹さん?」


 トイレの個室から出てきたのは、口の周りに赤い肉汁を滴らせた、夕樹リカその人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ