彼女はゾンビ? 7
そして、少し経ってから、俺達はさっそく地下一階に行くことにした。
小室さんの言う通り、いやに静かだ。確かにおかしい、って気分もわかる。
「……誰も、いませんね」
古谷さんが地下一階を見渡してみる。誰の姿もなかった。
「……そうだな。前来た時は、ゾンビがいたのか?」
「ええ……でも、誰もいません……」
俺も同じようにフロア内を見渡してみたが、誰もいない。
「あ」
と、小室さんがいきなり小さな声をあげた。
「どうしたの? 小室さん」
「……にく、くいあらされてる」
「え? うわ……ホントだ……」
見ると、食料品売り場の鮮肉コーナーにあった肉が、まるで獣か何かに食い荒らされたかのように食われていたのだ。
その散らかしようはかなりすさまじいものだった。まるで、鮮肉を何かの代わりに食い荒らすかのような……そんな感じである。
「ああ……まぁ、ゾンビが居たからね……」
「……ちがう。これ、くいあらされてから、あまりたってない」
「え? ど、どういうこと?」
「……つまり、これたべたぞんび、まだ、ちかくにいる。……だとすると――」
俺は思わず振り返った。古谷さんと紫藤さんも嫌そうな顔をしている。
「で、でもよ……なんで生肉なんか喰ってんだよ? ゾンビなら、普通にそこらへんの人間を襲うとかあるだろ?」
「……たぶん、このゾンビ、わたしたちとおなじ」
「同じって……それって……」
紫藤さんと古谷さんは顔を見合わせた。そして、キッと俺のことを見る。
「え……ど、どうしたの?」
「赤井君……あの子、ゾンビですよ」
古谷さんが落ち着いた様子でそう言った。




