彼女はゾンビ? 6
「……で、そのままそんな約束して戻って来ちゃったってわけですか」
大きなため息とともに、古谷さんは俺にそういった。
「え……うん。そうだけど……」
「あのなぁ……赤井。お前、騙されやすいってよく言われなかったか?」
紫藤さんも呆れ顔で俺にそう言ってきた。
「え……それって、夕樹さんが俺のことを騙しているってわけ?」
「ええ。十中八九そうでしょうね。ああいうタイプは絶対に学校でも男の子を騙しているタイプですよ」
「ああ。それだけは俺もゾンビモドキに同感だ。ああいうタイプは絶対に嘘をついて男をたぶらかしているにきまっているんだ」
二人は顔を見合わせてうんうんと互いに頷いていた。俺の方はどうにも二人が言っている事が理解できなかった。
「でも……どうして俺を騙す必要があるのさ? 俺を騙して何か得することなんてある?」
それを言うと二人共黙ってしまった。
そうだ。俺を騙したって何もいいことなんて無い。この状況下で俺を騙しても夕樹さんには何のメリットもないなら、騙す必要だってないはずだ。
「そ、それは……そういう性格なんですよ! アイツは!」
どうすればいいのかわからなかった感じがあるが、古谷さんはとにかくそう言った。
「え……そ、そうなの?」
「そうです! まったく……女の子ってのを分かっていなすぎるんですよ。赤井君は」
憤慨する古谷さん。紫藤さんも隣でうんうん、となぜか頷いている。
「……小室さんは、どう思う?」
俺がそう訪ねても、小室さんはずっと下を向いたままだった。
さっきからずっとそうだ。小室さんは、何かを悩んでいるかのようにずっと黙ってしまっている。
「小室さん? さっきからどうしたの?」
「……おかしい。やっぱり、おかしい」
「だから、何が?」
「……ここに、ぞんび、たくさんいた。でも、もうひとりもいない……どこかにいったのかな」
「それは……と、とにかくさ、後で地下一階に行ってみればわかるんじゃない?」
俺がそう言うと小室さんも多少納得したようだった。でも、俺も少し違和感があった。
その正体が一体なんだったのかはわからなかったのだけど……




