彼女はゾンビ? 5
「……え? 守るって……どういうこと?」
「えっと……そのままの意味です。私……もう一人は嫌なんです……!」
思いつめた様子で夕樹さんは俺にそう言ってきた。
「あ……う、うん。大丈夫だよ。俺は……あんまり役には立たないけど……夕樹さんの側にいてあげるよ」
「……じゃあ、あの人達の所には行かないで下さい」
「……え?」
と、夕樹さんは今度は先ほどとは打って変わって、俺のことを睨むような目つきで見てくる。
「そう言ってくれるなら……あの人達のところにはいかないでください」
「え……で、でも……」
俺が言いよどんでいると、夕樹さんは先ほどよりも強く俺の手を握ってきた。
「お願いします……もう……限界なんです……」
夕樹さんは悲痛な声でそう言った。その辛そうな感じは、俺にどこかに婦警さんのことを思い出させた。
あまり、追い詰めるようなことを言っては駄目だ……ここは身長に対応しなくちゃいけない。
「あ……わ、わかったよ。でも、ずっと夕樹さんだけの側にはいられない。小室さんは古谷さん、紫藤さんだって、俺は側にいてあげるって約束したんだ。だから……夜の間だけ、夕樹さんの側にいてあげるよ」
俺がそういうと夕樹さんは最初キョトンとした顔で俺のことを見ていた。
しかし、次の瞬間、ニンマリと嬉しそうに笑った。
その笑い方はなぜか少し引っかかった。
なんというか……俺が夜の間だけでも側にいるって言ったことに対して喜んでいるというよりも、俺がその言葉を言ったという事実に、夕樹さんは喜んでいるように見えたのだ。
「……わかりました。それなら大丈夫です。赤井君、あの三人の下に戻って下さい」
意外にもすんなりと夕樹さんは俺の提案を認めてくれた。
「え……あ、ああ。うん。じゃあ、また、夜にね」
なんとなく俺は納得できなかったが、夕樹さんが手を振って俺を見送ってきたので、三人の下に戻ることにした。




