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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター24
131/204

彼女はゾンビ? 3

「えっと……夕樹さんはいつからここに?」


「え……5日前くらいからですけど……」


「ああ。じゃあ、俺達がいなくなった後か」


 俺達はそのままデパートの三階、家具品売り場の椅子に勝手に座っていた。そこで、先ほどあった女の子、夕樹リカさんに話を聞いていたのである。


「でも……一人でここにいたの?」


「あ……はい。一人で……いました」


「そっか……ゾンビとかは、大丈夫だった?」


「え、ええ……でも、怖かった……です……」


 夕樹さんはそういって俯いてしまった。これ以上はあまり話を効かない方がいいみたいである。


「あ……えっと、こんなこと聞くのは悪いんですけど、食料とかはどうしてたんですか?」


 古谷さんがなるべく安心させようとしたのか、笑顔で夕樹さんに訊ねた。しかし、夕樹さんは古谷さんの方を見ようとはしなかった。


「え……えっと、夕樹さん。食料は?」


「……一応、持ってきたものがありました……でも、もうないんです……」


 俺が訊ねると、涙ながらにそういっていきなり俺の手を掴んできた。


「もう……限界なんです……お願いします……助けてください……!」


「え……あ、ああ。うん。なんとか……ね」


 俺はいきなりされたその行為を拒むことが出来なかった。


 しかし、俺の手を掴んできたその手は……温かった。


 ぬくもりのある手だった。俺はこれで夕樹さんが人間であるということを確信した。


 その一方で、三人の女の子たちの視線は冷たいものだった。


「と、とにかく……これからのこと考えないと。えっと、夕樹さん、地下一階の食料売り場は行った?」


 俺はなんとかその場を誤魔化すためにそう言った。


「あ……行ってないです。怖くて……」


「そっか。じゃあ、とりあえず、そこに行ってみようか」


「あ、あの!」


 そう言って俺が立ち上がると、いきなり夕樹さんは俺の服の袖を掴んできた。


「え……な、何?」


「その……赤井さんと、ちょっと……二人きりで話したいことがあるんです……」


 夕樹さんは目をうるませて俺にそう言ったのだった。その潤んだ瞳も、綺麗な茶色だった。

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