彼女はゾンビ? 2
「だ……誰だ!? 出てこい!」
紫藤さんが大きな声で怒鳴る。
「ちょ……待ってください。喋れるってことは……人間じゃないんですか?」
「はぁ? い、言われてみれば……」
暫く返事はなかった。俺達は互いに顔を見合わせる。
「あ……えっと……誰かいるんですか? 俺達は危害を加えるつもりはありません。出てきて……くれませんか?」
俺がそう言うと、少し経ってから、デパートの受付の影になっている部分から人影が顕れた。
「あ……君は……」
「え……えっと……貴方達は喋れるんですか?」
物陰から出てきたのは、長い髪を2つに縛った……ツインテールにした女の子だった。
背丈は小室さんと同じくらいで、古谷さんと紫藤さんはよりは少し小さい。
制服を着ているからどうやら俺達と同年代のようである。
「あ……うん。俺達は人間だよ」
「人間? え……そっちの人達も?」
女の子は不思議そうに俺ではなく、隣にいる小室さん、古谷さん、紫藤さんを見る。
「あ……うん。人間だよ。ゾンビじゃない」
「え? そ、そうなんですか?」
それでも不思議そうにそういう女の子。
「あぁ? ゾンビじゃねぇって言ってんだろ? あんまりごちゃごちゃ言っていると、食っちまうぞ?」
「ひっ……ご、ごめんなさい……」
女の子は怯えたようにそこに座り込んでしまった。
「……怖がらせてどうするんですか?」
古谷さんがジト目で紫藤さんを見る。紫藤さんはバツが悪そうにそっぽを向いた。
「え……えっと……大丈夫です。何もしませんから。えっと、アナタは?」
俺が安心させるようにゆっくりとそう言うと、ツインテールの女の子はゆっくりと俺の方に近づいてきた。
「ゆ……夕樹リカ……です」
「夕樹さん……俺は赤井レオです。どうぞ、よろしく」
俺がそう言うと女の子は小さく頷いたのだった。




