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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター23
124/204

追跡者 4

 それから数時間後。既に夕暮れ担った頃。


「……あ、赤井君……」


 古谷さんの弱々しい声が聞こえて来た。


「あぁ……古谷さん……」


 俺はようやく平常の状態に戻った古谷さんの顔を見る。


「え、えっと……もう、大丈夫みたいです……」


 俺は紫藤さんと小室さんと顔を見合わせる。三人共ようやく安心した。


「ほら。言ったじゃないか。大丈夫だ、と」


 しかし、そこへ冷淡な声が割って入ってきた。


 俺は思わず立ち上がった。


「……宮本さん」


 そして、そのまま宮本さんの方に近づいていく。


「なぁ? 言っただろう。赤井君。もうこんな化け物共とは一緒にいない方がいい。お姉さんが護ってあげるから、私と一緒に――」


「うるさい!」


 と、同時に俺は宮本さんの頬を叩いてしまった。


 女性……しかも、自分より年上の女性を叩くというのはどうかと思ったが、その時は理性よりも感情が先に行動してしまったのである。


 パシンという乾いた音が響いてから、暫く経った。俺は宮本さんを叩いたということをしばらくしてから実感した。


「あ……ごめんなさい。宮本さん……」


 そして、思わず謝ってしまった。宮本さんは目を丸くして俺を見ている。


「……なぜ、私を叩く?」


「え、あ……すいません。でも……言ったじゃないですか。小室さんも古谷さんも、化け物じゃないんですよ」


 俺がそう言うと、宮本さんは、小室さん、古谷さんに視線を写した後、最後に俺のことを見た。


「……そうか。じゃあ、君は、化け物でも受け入れてくれるのか」


「だから……俺は化け物だなんて思いません。こうやって意思疎通をしているんです。化け物だなんて――」


「……嘘だ」


「……え?」


「嘘だ……化け物になったら、赤井君は私を受け入れてくれない……このままジャ……私ハ化けものになってしまう……ワタシ……アカイクン……ニ受け入れてモラエナイナラ……」


「み、宮本さん!?」


 すると、宮本さんはそのまま右手に持った拳銃をこめかみに当て、躊躇うこと無く引き金を轢いた。


 乾いた音の後で、大量の血がそのまま宮本さんの銃口を当てた反対側から飛び出た。


 俺はそのまま立ち上がる。


「……紫藤さん」


「え? ど、どうした?」


 あまりのことに呆然としていた紫藤さんに話しかけてから、俺はコンビニの方を向く。


「……トイレ行ってくる」


「あ、ああ……」


 口元を抑えながら、俺はそのままコンビニに駆け込んだ。

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