表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター23
120/204

再びデパートへ 3

 結局、紫藤さんと古谷さんは「デパートに付くまでお互い喋らない」ということを条件として、なんとかそのまま進むことにした。


 小室さんは相変らず背後を気にしていたが、俺もなんとなく聞きづらい雰囲気だったのだそのままデパートへの道を進むことにした。


「お! おい! 赤井!」


 と、デパートまでの道程を、丁度半分程進みきった辺りでのことであった。


「なんですか……喋らないって約束したのに……」


「見ろよ! コンビニだ!」


 古谷さんの愚痴はスルーして嬉しそうにそう言う紫藤さん。


 紫藤さんの言葉通り、見ると確かにそこにはコンビニが見えた。


「あ、うん……確かに、コンビニだけど……」


「入ろうぜ! 食い物があるかもしれねぇ!」


「ちょ……ちょっと待ちなさい!」


 と、そのままコンビニに直行しようとする紫藤さんを、古谷さんが制止する。


「……なんだよ。ゾンビモドキ」


 不満そうな顔で振り返る紫藤さん。古谷さんはイラ付き気味に紫藤さんを見ている。


「あのですね……赤井君ならともかく、アナタ! 食べ物を食べなくても平気な身体ですよね? それなのに、どうしてコンビニなんて行こうとしているんですか?」


「はぁ? あのなぁ……確かに、食べなくても平気だ。だけどよ。食べたいって思うことはあるだろ? お前だってそうじゃないのかよ?」


 紫藤さんの言葉に、古谷さんは少し戸惑い気味だった。


「た、確かに……だからといって、いきなりコンビニに入るなんて危険過ぎます!」


「なんでだよ? 俺達はゾンビだぜ? 別に他の奴らに襲われる危険なんてないだろ?」


「で、ですけど……」


 困った顔で古谷さんが俺を見る。かといって、俺もどうすることもできないたのだが。


「仕方ねぇな……俺が少し見てきてやるよ。食い物でも残ってたら、お前たちの分もとってきてやるから!」


 そう言って、紫藤さんはそのままコンビニの方へ走って行ってしまった。


「はぁ……赤井君、どうしてあんな人、助けたんです?」


「え? あ、あはは……ああ見えて紫藤さんはしっかりしているから大丈夫だよ……たぶん……」


 そして、コンビニに紫藤さんが入っていった、その直後のことであった。


「うわぁぁぁ!!!」


「……へ?」


 まぎれもなくそれは紫藤さんの叫び声であった。


「あ、赤井君……今の……」


 古谷さんに言われるが早いか、俺はバットを持ったままコンビニの中へ入っていった。


「紫藤さん!?」


「あ……赤井……」


 そこには涙目で座り込む紫藤さん。その先には……


「……へ?」


 身長は180センチ、体重は……100キロはあるだろうか。とにかく、巨体のゾンビが経っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ