再びデパートへ 2
デパートへの道のりは、宮本さんの暴走運転でなくても、それほどかからない距離だった。
しかし、歩くとなると、少し時間はかかる。ましてや、道中のゾンビの危険性、そして、あまり早く歩けない小室さんのことも考慮すると、夕方までに付けば良い、といった感じである。
「それにしても……赤井。お前、なんでバットなんて持ってきたんだよ?」
と、しばらく歩いていると、紫藤さんが俺に話しかけてきた。
「え? あ、あはは……一応ね」
「ったく。ゾンビなんて俺が少し脅してやればすぐにそこから出て行くっていうのによ。ビビリすぎだってんだよ」
得意気にそう言う紫藤さん。言われてみれば確かにそうだが、やはり最低限の保険はかけておきたいのである。
「……脅すって……やっぱり乱暴な人なんですね」
「あぁ? なんか言ったか? ゾンビモドキ?」
と、またしても、古谷さんが紫藤さんに何か言ってしまったようだった。
「はい? 何も言ってませんよ? ただ、私は感想を述べただけです」
「感想……ほぉ。じゃあ、俺もお前に対する感想を述べてやるぜ。気取った糞野郎が」
「なっ……! あ、アナタねぇ……こ、言葉に気をつけたほうがいいんじゃないですか!?」
「なんだ? 文句あるのか? いいぜ。かかってこいよ?」
そういって二人はまた睨み合っている。まだ歩き出して10分も経っていない。この二人は喧嘩しないでいられないのだろうか。
「はぁ……もう、二人共やめてよ」
「……あかい、くん」
と、俺が二人の仲裁に入ろうとした時だった。
「え……どうしたの? 小室さん」
見ると、小室さんはジッと、俺達がやってきた道の方を見ていた。
「……だれか、みてる」
「え? 誰か? 誰かが付いてきているってこと?」
小室さんは小さく頷いた。
「それって……まさか、ゾンビ?」
しかし、小室さんは首を振った。
「ぞんび、じゃない。でも……にんげん、でもない」
「え……な、何それ……」
少し嫌な予感がした。いつも通りの無表情な小室さんだが、その顔つきはどこか不安げだったからである。
「おい! 赤井!」
「え? な、何?」
俺がそんな小室さんを見ていると、いきなり紫藤さんが俺のことを呼びつけてきた。
「お前は俺とゾンビモドキ、どっちが言っていることが正しいと思う?」
「え……ちょ、ちょっと待ってよ……」
「赤井君は、もちろん! 私、ですよね!?」
そして、再び睨み合う二人。
小室さんの言うことも気になったが、仕方なく、俺はそのま古谷さんと紫藤さんの仲裁に入ったのだった。




