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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
ファイル1
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再びデパートへ 1

「では、さっそく出発しましょうか!」


 そして、次の日の朝。


 古谷さんの元気な声とともに、俺達は家の玄関に集合していた。


「……おい。なんでゾンビモドキが仕切ってんだよ」


 そんな古谷さんに対して、不機嫌そうに言い返す紫藤さん。


「なんですか? 私が仕切っちゃいけないんですか?」


「別に? だけど、お前に仕切られるのはなんだか癪なんだよ」


「はぁ? アナタねぇ……いいですか? アナタなんて、赤井君がいなければ、今頃そこらへんを『あー』とか『うー』とか言いながら動き回っていたんですよ?」


「あぁ? なんだと!? てめぇ……ふっ。いいぜ。俺達はどうせ腕の一本や足の一本とれたって死なねぇんだ。お前と俺、どっちが強いか今此処ではっきりさせようじゃねぇか」


「ちょ……ちょっと待って!」


 慌てて俺は仲裁に入る。古谷さんと紫藤さんは同時に俺のことを見た。


「……なんですか、赤井君。邪魔しないでください。私はこの人と白黒付けなきゃいけないんです」


「そうだぜ。コイツはなにか勘違いしているみたいだからな。どっちが上の存在かしっかり教えてやらないと」


「ちょ……ちょっと待ってよ。っていうか、なんで喧嘩してるの? これからデパートに行くんだよ? 別に誰が仕切るってわけでもないんだから……」


 俺がそう言うと二人はようやくそれに気がついたようだった。しかし、互いに顔を見合わせると、お互いプイと顔を背けてしまった。


 どうにも……古谷さんと紫藤さんは、相容れないタイプのようである。


 この先、デパートで当分一緒に過ごすというのに……大丈夫なのだろうか?


「あかいくん、そろそろ、いこう」


 小室さんのそんな言葉で、俺は本来の目的を思い出した。


「……じゃあ、行こうか」


 俺の言葉に、三人共ゆっくりと頷いた。


 俺はゆっくりと玄関の扉を開けた。外は、まるでゾンビなんて溢れかえっていない、いつも通りの日常のように良い天気だった。


 しかし、電柱の側に突っ立っているぼぉっとゾンビを見ると、未だに自分が非日常の中にいることを実感した。


「……よし。行こう」


 そして、俺達はそのままデパートに向かって歩き出したのだった。

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