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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター18
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再会 4

「……はぁ」


 久しぶりに戻った自分自身の部屋。


 本来ならば安心してベッドにそのまま横になりたかった。


 しかしそんな気分にもなれなかった。


 ベランダに出て、空に向かって俺は大きくため息をつく。


「あう……うあ?」


 背後から紫藤さんの声が聞こえてきた。無論、何を言っているかわからない。


「……ごめんね。紫藤さん。俺、なんか……二人に嫌われちゃったみたいで……」


 俺がそういうと、紫藤さんはメモ帳に何かしらを走り書きして、俺に見せる。


「『謝ればいいだろ』……うん。そうだね」


 言われてみればその通りだ。謝ればいいのだ。


 だけど、未だに俺はショックだったのだ。


 あの小室さんに頬を叩かれてしまった。


 宮本さんに連れ去られたのは、仕方ないことだと俺自身も思う。


 だけど……二人にとっては、俺が二人を裏切ったと思うのも仕方のないことだと思う。


 謝って済むことなのか……俺は不安だった。


「あう! うあー!」


「え? ど、どうしたの? 紫藤さん?」


 いきなりこちらに来て怖い顔をする紫藤さん。そして、また何かを書きなぐって俺に見せる。


「『なんで戸惑っているんだ。さっさと謝れ』……それはそうなんだけど……俺は、結果的に二人のことを裏切ってしまったわけだし……」


「あう! うあ~……あう!」


 そして、紫藤さんは続けて何かしらをメモ帳に書き込む。今度はしばらく時間がかかった。


 チラリと少し恥ずかしそうに紫藤さんは俺を充た後、ゆっくりと紙を見せる。


「『お前は俺のことを助けた。お前が、誰かを裏切るようなヤツじゃないことを俺は知っている。アイツ等がそれをわかってないなら、俺が一緒に謝ってやる』……紫藤さん……」


 思わず俺は紫藤さんの顔を見る。紫藤さんは、そっぽを向いてしまった。


 そうだ。謝ろう。


 俺はなんのために宮本さんを見捨ててここまで来たのか。


 それは、小室さんと古谷さんに再開するためだ。


 二人と一緒に、またこの極限状況を生き抜くためだった。

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