再会 4
「……はぁ」
久しぶりに戻った自分自身の部屋。
本来ならば安心してベッドにそのまま横になりたかった。
しかしそんな気分にもなれなかった。
ベランダに出て、空に向かって俺は大きくため息をつく。
「あう……うあ?」
背後から紫藤さんの声が聞こえてきた。無論、何を言っているかわからない。
「……ごめんね。紫藤さん。俺、なんか……二人に嫌われちゃったみたいで……」
俺がそういうと、紫藤さんはメモ帳に何かしらを走り書きして、俺に見せる。
「『謝ればいいだろ』……うん。そうだね」
言われてみればその通りだ。謝ればいいのだ。
だけど、未だに俺はショックだったのだ。
あの小室さんに頬を叩かれてしまった。
宮本さんに連れ去られたのは、仕方ないことだと俺自身も思う。
だけど……二人にとっては、俺が二人を裏切ったと思うのも仕方のないことだと思う。
謝って済むことなのか……俺は不安だった。
「あう! うあー!」
「え? ど、どうしたの? 紫藤さん?」
いきなりこちらに来て怖い顔をする紫藤さん。そして、また何かを書きなぐって俺に見せる。
「『なんで戸惑っているんだ。さっさと謝れ』……それはそうなんだけど……俺は、結果的に二人のことを裏切ってしまったわけだし……」
「あう! うあ~……あう!」
そして、紫藤さんは続けて何かしらをメモ帳に書き込む。今度はしばらく時間がかかった。
チラリと少し恥ずかしそうに紫藤さんは俺を充た後、ゆっくりと紙を見せる。
「『お前は俺のことを助けた。お前が、誰かを裏切るようなヤツじゃないことを俺は知っている。アイツ等がそれをわかってないなら、俺が一緒に謝ってやる』……紫藤さん……」
思わず俺は紫藤さんの顔を見る。紫藤さんは、そっぽを向いてしまった。
そうだ。謝ろう。
俺はなんのために宮本さんを見捨ててここまで来たのか。
それは、小室さんと古谷さんに再開するためだ。
二人と一緒に、またこの極限状況を生き抜くためだった。




