再会 2
「え……古谷さん、どうしてここに?」
「……それはこっちのセリフなんですけど……」
ジト目で俺のことを見てくる古谷さん。
古谷さんはデパートにいたはずである。
それなのに、今俺の目の前にいるのは、まぎれもなく古谷クレアその人である。
「えっと……戻ってきたってこと?」
俺がようやく口を開くと、キョトンとした古谷さんは、それからすぐに俺を鋭く睨みつけた。
「……ええ。赤井君があの婦警と逃げてから大変でした。小室さんを背負って此の家までなんとか帰ってきて……赤井君が鍵をかけ忘れてくれたのが幸いでしたね」
「そ、そうだったんだ……でも、古谷さん、俺は逃げたつもりなんか……」
俺がそう言おうとすると、古谷さんはさらに鋭く俺を睨む。
「……どうせ、赤井君もあの婦警と一緒なんでしょう? 私達みたいなゾンビからは逃げたかったんですよね?」
「そんな、俺は……」
「あう」
と、俺がなんとか続きを言おうとすると、その間に紫藤さんが入ってきた。
紫藤さんの参入に、古谷さんも目を丸くしている。
「……誰ですか。この人は」
「あ……えっと、紫藤ヘレナさん。帰ってくる途中で出会ったんだ」
俺がそう言うと古谷さんはわざとらしく大きくため息をついた。
「だったら、この人とどこか好きな場所へ行ってください。どうせ、赤井君は私達のことなんてもうどうでもいいんでしょう?」
「そんな……えっと……古谷さん。ところで、小室さんは?」
「こ、こ」
と、懐かしい声が聞こえてきた。俺は振り返る。
「あ……小室さん!」
そこに立っていたのは、相変わらず死んだ魚のような目をしてこちらを見ている、小室アリスだった。




