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閉話 動乱後の後始末 ※他視点



 帝国城内で一際美しい裏庭で優雅に紅茶を飲み、楽しそうに報告書を眺める女性。


 セブルディア帝国第一皇女『ライザ・フォン・セブルディア』は美しい金の髪をなびかせて、隣で臣下の礼をするカメリアとカルマを見つめる。


「それにしても、アダムはホントに面白いわよね」

「面白いですか・・・こちらとしては、彼の秘密主義に困っておりますが」


 本当に困ったものだとカメリアは思う。

 結果を見ればアダムは最良を帝国にもたらした。帝国国内の不穏分子を排除して、隣国クレバス新王国と半永久同盟という、事実上の属国にしたのだから。


「ですが良かったのですか?その・・・婚約者などと」


 不満そうなカルマに「あら?もしかして狙ってたの?」と面白そうに告げるライザ。


「い、いえ。その・・・そう!かの魔王がクレバス新王国に流れて――」「それは無いわ」


 カルマの発言を遮りライザは断言する。


「もしそうなら、既に何度も彼は帝国を裏切る事が出来たのだもの。でも、していない。給金の件は大問題だったけれど、それも今回の件で彼に正当な金額が行くようになるし」

「それはそうかもしれませんが」


 納得の行っていないような声をあげるカルマ。

 あの魔王の知略が帝国に向けられたらと。

 だが、ライザはカルマの真意に気付いている。


「ふふっ。よっぽど直属を妹に取られたのが気に食わないのね。姉妹仲の良いこと」

「・・・何故許可したんですか」


 不貞腐れたような声をあげるカルマ。

 やれやれと肩をすくめるカメリアと面白そうに笑うライザ。


「だってアダムが自分から直属を欲しいって言うの初めてじゃない?だから私張り切っちゃったの」


「だから諜報部を辞めさせて、新たに特務戦略諜報部を作ったと?」

「えぇ。面白いわよね!知ってる?諜報部の間じゃ叡智の巣とか言わているらしいわよ」


 朗らかに笑うライザに「知ってますよ」と言ってガックリと肩を落とすカルマ。自身が専属メイドであるにも関わらず、アダムの右腕は自身の妹に掠め取られたのだから。


「まぁ良いじゃない。どうしてもって言うならアダムを説得しなさい。アダムから言われたらカルマちゃんも栄転させてあげるから」


「どんな手を使っても説得しますよ」


 カチャリと眼鏡を直して決意の籠もった目を向ける。

 カルマは本気でアダムを籠絡しようと決意した。


「さて、冗談はそこまでにして、カメリア団長」

「はっ」


「クリスから報告が届いてる。アダム卿が変な事を言ったと」


 そう言って書類を手渡す。

 中身を確認したカメリアとカルマは目を見合わせる。


「弱い・・?」

「そう言えば、アダム様がクレバス王国に向かう前にも同じ事を言っていましたね」


 何を言っていたんだろうと不思議に思ってはいた二人。だが、クリスの前でも言っていたらしい。


「私も思うわよ。弱いなって」


 不思議そうにしている2人に対して確信めいた事を言うライザ。


「どういう意味でしょうか?」

「そのままの意味よ。アダムが動くには弱すぎる・・・てね」


 問題を未然に防いだと言う意味ではそんな事は無いと二人は思うが「分からない?バック王は木っ端よ」と直接確認したライザは断言する。


「木っ端ですか?」

「カルマちゃんは諜報部なんだからわかるでしょ?」


「・・・確かに不自然ではありました」


 思い出すようにカルマは告げる。


「バック王が考えた策謀としてはよく考えられているとは思いましたね」

「そこよ。あの愚王にこんな計画は考えられない・・・アダムが少し突いただけで無遠慮に死刑判決をするくらいには狭量なのよ?」


 その言葉を聞いてカメリアが「確かに変ですね」と自身も違和感を感じてライザとカルマを見つめる。


「そもそも、バック王がなんでオルトロスに伝があったのかも謎です」

「帝国を本拠地にしているのに・・・ですか」


「そうね。だから、私はこう考えたのよ。まだ終わってないって」


 ライザが真剣な様子で二人を見つめる。まだ終わってない、つまり黒幕がまだいると言うことだ。


「バック王の背後関係を洗います」

「えぇカルマちゃんお願いね」


 「かしこまりました」と言って礼をするカルマを見て満足そうに頷く。


「後、アダムの方にはリーナちゃんを派遣するわ」


「軍師、つまり」


 カメリアが息を飲む。準備はしていたがやはりこうなるかと覚悟するカメリアに頷くライザ。


「えぇ。戦争よ間違いなくね。まっ!今回は戦姫も魔王も最前線に出てくれるから鏖殺になるだろうけどね」


「それは・・・そうでしょうね」


 塵も残らないとカメリアは思い『どうやって魔王を抑えるか』と今から考え込む。なるべく彼には大人しくしていてほしいものだと思いながら。


「さてと。じゃあそういう事だから頼んだわ二人とも」

「「かしこまりましたライザ様」」



 紅茶を飲み楽しそうに空を見上げ「さて、アダムはどう動くかしら」と楽しそうに思いを馳せるのだった。





新作投稿始めました。

召喚された絶望少女は勇気を振り絞るー鍛冶師として仕事をする彼女を甘やかす帝国軍人が勝手に復讐していきます。


よければこちらも見てみてください

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