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分岐点にて  作者: 星野☆明美、chatGPT
16/21

15

作戦会議が終わっても、空気は張りつめたままだった。


研究所から来た優也は、無意識のうちにポケットの中身を確かめていた。

金属が、わずかに触れ合う音がする。


千鳥はその仕草を見て、胸の奥がざわついた。

――あれだ。

理由はわからない。でも、あの人が追われる理由が、そこにある気がした。


「……来る」


不意に、研究所の優也が呟いた。


「まだ姿は見えないけど、近い。空気が、さっきと違う」


係官の優也が即座に反応する。

「千鳥、能力は使うな。今は――」


その言葉を、千鳥は最後まで聞かなかった。


自分の足元で、わずかに世界が歪む。

耳鳴りのような低い音が、鼓動と重なった。


ああ、と千鳥は思う。


まただ。

私が、目印になっている。


「……大丈夫」


そう言って、千鳥は顔を上げた。


「呼ぶだけ。まだ、跳ばない」


係官の優也は、止める言葉を失った。


その瞬間、遠くで何かが軋む音がした。

金属でも、風でもない。


――世界線が、擦れる音だった。

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