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48 新しい武器 2

「はぁ‥‥‥ちょっと休憩」


《二トンもあるブラックアイアンを剣にしているのだから、普通よりも疲れるでしょうね》


 王都から帰った後、俺はすぐに武器制作に取り掛かった。帰りは、王城からオリエの町のギルドを繋いで貰った。その際、未使用のゲートを五つ貰った。早速一つを、工房の横に設置した。

 作業に取り掛かったのはその翌日から。最初にフィアナの剣を鍛えていたが、あまりの重量に持ち上げるだけで物凄く苦労していた。今ツリーハウスに居るのは、サリーとローリエのメイド組だけで、アリシアさんとメリーは家具を、カナデとフィアナは日用雑貨をそれぞれ買い出しに行っていた。


「それにしても、王様も公爵様もナーナも、なかなかに注文が多いな。しかも、内容が三人ともバラバラだし」


 国王陛下は、レッドアイアン製の長刀で、鍔と柄頭の部分に状態異常耐性の宝石の装飾を希望していた。公爵殿下はヒヒイロカネ製の刀を、ナーナはミスリル製の剣を希望していた。この他にも、公爵殿下は鍔の部分に毒耐性の宝石の装飾を希望し、ナーナさんにはそう言った希望は特になく、よく斬れる剣がいいと言う要望だけであった。


「なぁデリウス。剣に耐性の宝石が装飾されてもきちんと効果は発動するのか?


《問題ないわ。ただ、装飾するのがかなり面倒臭いだけで》


 装飾するのが面倒臭いのかよ。はぁ、面倒な依頼を引き受けてしまった。


《そうそう。向こうに行ったら、サリーとローリエが渡したい物があるって言っていたわ》


「渡したい物?」


《王都に移住してからのお楽しみって事で》


 気になるが、今は武器制作に集中するか。何せ、フィアナが使っている古墳剣の柄と鞘をそのまま使うのだから、剣もそれに合わせて鍛えなくちゃいけないので微調節が難しいのだ。


《せっかくの機会だから、あの子達のセカンドウェポンも鍛えてあげたらどうなの?》


「セカンドウェポンか。メリーやフィアナはともかく、アリシアさんも短剣や弓くらいなら作れると思う。けどそれだとカナデの武器が‥‥‥」


 カナデの剣術は子供のチャンバラごっこ未満、魔法は基本魔法から脱する事が出来ない。あれだけの馬鹿魔力を持っておいて、魔法が苦手ってマジで勿体なさすぎる。

 唯一の特技である射撃術を集中的に伸ばして、後方支援に徹しているのは良い事だけど、生憎俺は銃に関する知識は皆無な上にあんな複雑な武器を見おう見真似で作るのは危険だ。


《だったら、カラミーラーに銃の作り方を聞いて来るから、一日待って》


 そう言うとデリウスは念波を切り、静寂が工房中を支配した。


「さて、続きでもするか」


 肩を二~三回回して、武器制作を再開した。こんな重たい鋼材、剛力のスキルが無かったら持つことはもちろん、引きずる事も出来なかっただろう。

 純度が良い代わりに、とんでもなく重たいブラックアイアンの加工に戸惑っていたが、日が落ちる頃に何とか完成する事が出来た。


「てなわけで、フィアナ専用の剣が出来たぞ。名前は、黒曜だ」

「黒曜、か」


 鞘から抜いた、黒く光る刀身をフィアナは目を輝かせながら眺めていた。

「鞘から抜いた瞬間ズッシリ来たが、問題ない」


 満足そうに頷くフィアナ。というか、二トンもある黒曜を片手で軽々振るなんて。ヒガ山から帰った後、フィアナに剛力のスキルがいつの間にか追加されていたが、そもそもそれ抜きでとんでもない馬鹿力を持っているのだから関係ないのに。

 ちなみに、黒曜のステータスはこちら↓


=========================================


 名前:黒曜

 ランクS

 種類:片手剣

 持ち主:フィアナ

 能力:重量調節・不壊・持ち主固定


=========================================


 最初から漢字表記だ。だいぶ上達したもんだな。

 それにしても、固有の能力が重量調節だけって‥‥‥希少金属でありながら人気が全くなく、家屋の基礎に使われているのも納得だ。本当にただ重いだけの鋼材なんだな。


「ありがとう翔馬。大切にする」


 黒曜をに気に入ったフィアナは、古墳剣をアイテムボックスにしまい、黒曜を腰に提げた。


「よし、じゃあ早くツリーハウスに戻って夕食にするぞ」

「あぁ」


 フィアナを連れてツリーハウスへ上がり、皆と一緒に夕食を取った。


「そうそう。折角二十日も準備期間を貰ったんだから、皆のセカンドウェポンも鍛えようと思う」


 夕食の席で俺は、皆にデリウスの提案を話した。一番食い付いたのは、言うまでもなくメリーとフィアナであった。アリシアさんも興味深そうにしていて、銃をメインウエポンとしているカナデは渋い表情をしていた。


「差し出がましいですが、刀を二本と短めの刀と脇差、それと棍棒を希望いたします」

「丈夫な剣を二本」


 メリーとフィアナが具体的な要望を告げ、俺はそれをメモに書いた。二人とも、剣術と刀術の腕をメキメキと上げてきているから、セカンドウェポンでも良い物を作らないと。


「私は魔法の威力を上げる装飾品が欲しいので、それは専門の方にお願いしますので気にしないでください」


 アリシアさんは装飾品か。確かに、装飾品やアクセサリーは専門外だから、いずれ作ろうと思うが今は作る事が出来ない。せめて、料理包丁くらいはプレゼントしてあげるか。


「あたしもショーマが作ってくれた武器が欲しいけど、剣はダメだって言うし、ショーマは魔法銃を作れないし‥‥‥」


 最後は言葉を濁らせて言うカナデだが、自分だけ俺の御手製の武器が貰えていない事を不満に思っているのだな。


「銃なんだけど、今デリウスが銃の女神様から作り方を教わりに行っているみたいだから、もしかしたら何とかなるかもしれない」

「ホント!あたしにも武器を作ってくれるの!」


 おぉ、ガタンと椅子を倒す勢いで立ち上がり、目をキラキラさせて前のめりになって俺を見た。チラッと見えた胸の谷間にドキッとしてしまった。


「銃の女神と言うと、カラミーラー様にですか?」

「ああ。何か問題でも?」

「問題も何も、デリウス様とカラミーラー様はあまり仲が良くないのです。決して犬猿の仲という訳ではありませんが。カラミーラー様はかなりの毒舌家で、口調も厳しくしっかりした性格をしていますので、デリウス様とは気が合わないのです。なので、素直に教えてくださるのか」

「あぁ‥‥‥」


 要は、デリウスとは正反対で生真面目で融通が利かず、その上口も悪く毒舌家か。確かに、天然でマイペースな性格のデリウスとは気が合わないよな。更に面倒な事に、カラミーラーと言えばデリウスと共に勇者召喚に携わった女神だったな。今思い出したけど。


「ま、デリウスの事だからうまい言い訳を考えて聞き出すだろう。皆のセカンドウェポンは、国王陛下や公爵殿下達の後になるけど」

「構いません」

「剣を作ってくれるなら、何だっていい」

「あたしは最後で良いわ。その方がよりいい物が出来そうだし」


 三人の承諾も得た事だし、明日も気を引き締めて武器制作に勤しむか。出来る事なら、明日の昼までにデリウスには帰ってきて欲しい。


        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ん‥‥‥野太刀サイズの長さになったが、いい出来だ」


 レッドアイアンとヒヒイロカネを合わせ、美しい波紋が浮かび上がった最高の出来の長刀が出来た。それに、長くても長身の国王陛下なら問題なく使えるだろう。


「あとは、鍔と柄頭に状態異常耐性の宝石を装飾すれば完成だけど‥‥‥」


 宝石自体はサリーとローリエが発掘してくれたが、武器に装飾するのはまた別の作業だからな。鞘と柄はもう出来上がっているし、ハバキも既に付けてある。残っているのは、鍔の制作と宝石の装飾だけだ。


《たっだいまぁ!ちゃんと、カラミーラーから魔法銃の作り方を聞いてきたわ》


 帰ってきたか。丁度良い。


「なぁデリウス。この刀はどうだ?」


《どれどれ。へぇ、長刀にしてはかなり良いじゃない。ランクもSだし、国王陛下に献上するには充分だね》


「そうか」


《あとは、宝石の装飾だね。私の言う通りに作りなさいよ》


「はいよ」


 デリウスの指示通りに俺は、宝石を鍔と柄頭に装飾していった。宝石の加工は、俺達が留守にしている間にサリーとローリエがやってくれたのであとは装飾するだけだ。


「嵌め込むだけだと思っていたが、こんなに難しいなんて」


《宝石の装飾というのは、コンマ一ミリでもズレがあるだけで嵌め込めないし、何より見栄えが悪いからね》


 チキショウ!なんて面倒臭いんだ!しかも、こんなに小さい宝石をコンマ一ミリの単位で調整しないといけないなんて!


《ぶつくさ言わない》


「はい」


 デリウス先生は厳しいですね。

 そうして、慣れない宝石の装飾に手間取りながらも、何とか国王陛下に献上する長刀を完成させた。ここまで何と二日も掛かってしまった。

 長刀をアイテムボックスに収納し、ツリーハウスにて夕食を取った後アリシアさんとローリエを自室に呼んだ。


「私達で、ショーマさんの武器制作のお手伝いをするのですか」

「ん?」


 そう。今回二人を呼んだのは、明日からの武器制作で手伝いをして欲しいからである。なるべく早く終わらせて、ちゃんとした休みが欲しいし、ギルドで依頼も受けておきたいし、他にも自分の衣服も欲しいから何としても早く終わらせたい。

 ランテイ移住まであと十六日。数字だけで言えば長いが、メリー達のセカンドウェポンを作るとなると日数がギリギリになる可能性だってある。二十日間丸々武器制作に費やすなんて、冒険者としては流石にマズイ。鍛冶師に転職する気はないので。


「私で良ければ、喜んでお手伝いさせてもらいます!」

「頑張る」


 よし!頼れるアシスタントが手に入った事で、皆の武器制作もよりスムーズに進める事が出来るだろう。


        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 翌日。二人の協力もあって、公爵殿下の剣の制作はスムーズに進んだ。


「助かったよ。お陰でナーナの分も鍛える事が出来たよ」


 剣の形が出来上がると、アリシアさんがその先を予想して鞘を作り、宝石の装飾等と言った細々とした作業をローリエが行ってくれたお陰で早く終える事が出来た。


《アシスタントがいるだけでも作業効率が全然違うでしょう。これで、ちゃんとした休みも取れて、その上ギルドの依頼も受けられるわよ》


 それは助かる。折角金ランクになったのだから、きちんとその責務を果たしたいからな。


「それはそうと、こんなにたくさん武器があるのに、まだ作らないといけないのか?」


《状況に応じて武器を換えるのも、戦術の一つだよ。私だってたくさんの刀を鍛えているでしょ。その刀も、状況に応じて使い分けているの》


 戦いに応じて、使う武器も変えていかないといけないって事か。そういう意味で言ったら、たくさんあっても無駄にはならないな。


《それに、神鉄や色付きアイアン、不壊の能力でもない限り、必ず壊れる。いくら丹精込めて鍛えられた武器でも、所詮は形ある道具に過ぎない。使い続ければいずれは壊れる。たくさんあって損する事は無いわ》


 刀の女神とは言え、武器を己の半身であり魂だとは言わないみたいだな。そう言う気持ちは大事だが、やはりどんな武器でもいずれは壊れる。その時の為に新しい武器の用意は必須という訳か。


《無論、だからと言って、ただの消耗品として扱う事は許さない。使い続ければその武器に愛着が沸き、それに応じた使い方をすれば武器もその期待に応える。愛着が沸くと、武器の力を過信するは全くの別物だから勘違いをしないようにね》


 分かっている。俺だって、デリウスから貰ったハバキリも、アリシアさんから貰った火竜の剣も、自分で鍛え上げた蒼龍と火車斬と虎鉄が大切だ。大事だからこそ、それにふさわしい戦況に応じて使うのが一番良いのだろう。


「つまり、状況に合わせて武器を換える事が大事と言う事ですね」


《そうそう。流石アリシア、物分かりが良いわね》


 アリシアさんも理解した事だし、そうと分かれば明日からのメリーとフィアナの武器制作にも意欲が湧いて来る。


「皆の為に武器を作るのは良いですが、先ずはしっかり食事を取って、しっかり睡眠も取って体を休めるのも大切です」

「ああ、分かった」

「ごはん」


 公爵殿下の刀とナーナの剣を作り上げた所で、今日の制作は切り上げた。


       ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 次の日も、更にその次の日も武器をたくさん作っていき、気が付けば王都移住まであと五日と迫ってしまった。調子に乗り過ぎました。


「俺ってば、一体何をやってんだろうな‥‥‥」


 出来上がった武器は、俺とメリーとフィアナで山分けをし、残る最後の課題に俺は軽く頭を抱えていた。最後に作らないといけないのは、カナデが希望していた魔法銃なのだが、デリウスがカラミーラーから聞いたその製造方法にガクッと肩を落としながら作っていた。俺だけでなく、ずっと俺のアシスタントをしてくれたアリシアさんとローリエも頭を抱えていた。

 更に、たまたま近くに居たカナデとメリーとフィアナが苦笑いを浮かべていた。


「まさか、こんなにも手間のかかる物だったなんて‥‥‥」

「複雑な構造だと言う事は理解していましたが、これは予想外です」

「無理」


 はは、ただパーツごとに作っていき、一つ一つ魔力を込めるものだと思っていたが、そんな甘いものではなかった。パーツその物の形も非常に細かく、コンマ一ミリのズレが一つでもあると最初からやり直しになってしまう。パーツその物は、アリシアさんとローリエ、手伝いに来てくれたカナデとメリーとフィアナのお陰で何とか完成する事が出来た。

 だが、一番面倒なのが、魔法銃の魔力の源となるコアの部分。これの原料には、マギグラムゴブリンという魔法を使ってくるゴブリンの魔石が必要不可欠だというのだ。言うまでもないが、魔物の魔石は一つも残さずギルドに売ってしまったし、そもそもマギグラムゴブリンという魔物に遭遇したことが無いから、手元にある訳がない。


「よりによって、マギグラムゴブリンの魔石ですか。聞いた事はありますが、実物を見た事はありません」

「マギグラムゴブリンと言えば、物凄く数が少なく、一年間で三~四匹見つかるかどうかって言うレベルなのよ」

「そんなゴブリンを、どうやって見つけろって言うんだ」


 アリシアさんとカナデとフィアナは、見た事が無い種類のゴブリンに頭を抱えていた。


「ローリエ、オリエの町の近くにそれらしい臭いはしませんか?」

「無理。この辺りには、ゴブリンのゴの字もない」


 メリーの質問に、ローリエは眉間に皺を寄せながら首を横に振った。どうやら、この辺りにはマギグラムゴブリンに限らず、ゴブリンそのものが居ないのだろう。


「アリシアさん、オリエの町に魔石を売っている店ってないかな?」

「オリエの町に限らず、どの町にも魔石は売っていません。仮にあったとしても、数の少ないマギグラムゴブリンの魔石なんてある筈がありません」


 そうだよな。そう都合よくいかないか。

 それならダメで元々!


「じゃあ、ゴブリンの巣窟か何かに行くか?そこに行けば、もしかしたらマギグラムゴブリンが一匹くらい居るんじゃないかな」


 高位のゴブリンって確か、穴だらけの鉱山跡に巣を構えているって、ギルドの資料室にあった資料で見た気がする。もしかしたら、マギグラムゴブリンも居るかもしれない。


「あるにはあるのですが、ここから馬車で一日半かかる距離です。討伐して帰ってくる時間も考えると、ギリギリだと思います」


 往復で三日、討伐でおよそ半日、コアの制作に魔法銃の組み立てで更に半日。確かにギリギリと言った所か。だけど、そこにゴブリンの巣窟があるのなら早速狩りに行かないと。


「だったら善は急げだ。すぐに出発するぞ。メリー、すぐに支度を」

「承知」


 幸い、メリーのアイテムボックスには二ヶ月分の水と食料が備蓄されている。出発準備は何時でも整っている。メリーは工房を出て、すぐに馬車の準備に取り掛かった。


「ちょっと待って、あたしも行く。あたしの武器を作るんだし、あたしが行かないと」

「私も行きます!前回のドラゴン退治ではお留守番をしましたので」

「留守番は嫌だから、私も連れて行け」


 カナデとアリシアさんとフィアナも、ゴブリン狩りに同行したがっていた。まぁ、王都に移住する前に一肌脱ぐか。


「仕方ないな。ローリエ、サリーと一緒に留守番を頼む。その間に荷造りも頼む。買い物に行っている、サリーに伝えておいて」


 ガルゴの町に行っている間に、サリーが最大重量八トンのアイテムボックスを購入したみたいなので、その中に必要な物を収納する事が出来る。


「ん。伝える。いってらっしゃい」

「四日で帰ってくるから」


 ローリエに手を振り、俺とアリシアさんとカナデとフィアナは、馬車の準備をしているメリーの所へと走って行った。

 っとぉ、武器はどうしよう。ゴブリンが相手だし、蒼龍と火車斬を使う事は無いだろう。ハバキリもたまにはアイテムボックスにでも入れておくか。便利な事に、全てのアイテムボックスには盗難防止の能力が付与されているので、安心して武器を収納できる。


「よし。この三振りにするか」


 今回のゴブリン狩りに使用する武器に虎鉄と、十日間の間に鍛えておいた刀から二振り選んで腰に差した。丁度そのタイミングで俺は馬車に乗り込み、メリーが馬車を出発させた。


「今回は、その三本を使うんだ」

「あぁ。ゴブリン相手にハバキリや蒼龍、火車斬は勿体ないからな」


 虎鉄以外にチョイスした刀は、アイアンロブスターの甲羅から鍛えた刀と、オリハルコンから鍛えた刀の二振りである。


「分かる。新しく出来た武器って、無性に使ってみたいって思うよな」


 フィアナが思っている程ではないが、その意見には賛成だ。特に、自分で鍛えた武器となると。


「そう言えばご主人様、刀や剣の数え方が一振り二振りになりましたね」

「デリウスから釘を刺されたんだ。正しい数え方をしないと、国王陛下の前で恥をかく事になるって」


 王の謁見前日に、デリウスから言われた。普段から気を付けないと、荷かの拍子でポロッと出てしまいそうだ。


「そう言えばアリシアさん。目的の巣窟って、どの辺りにあるんだ?」

「丁度この道を真っ直ぐ行った先にある、ヴァリーバ鉱山という山です。鉱山なんて呼ばれていますが、実際は穴だらけで何もない鉱山跡です」

「そこが今、ゴブリンの巣窟になってるんだな」

「はい。でも、そこに住むゴブリン達は鉱山跡から出てくることが無いので、ギルドの方でもあまり危険視していない所なのです」


 まぁ、群れているといっても相手があのゴブリンではな。青ランク以上だと間違いなく相手にはならないし、白ランクの駆け出し冒険者でも倒せるくらいに弱い魔物だ。おまけに、知能が恐ろしく低いからギルドでもあまり危険視していないのかもしれない。


「だけど今回は、カナデの新しい武器の為に狩らせてもらうぞ」


 その他のゴブリンの魔石でも、一個銅貨三十枚くらいになるからまぁまぁ稼ぎになる。

 いかん!いくら手元に物凄い大金があるせいか、金銭感覚がおかしくなっているのかもしれない。これでは駄目だ、自重しないと。

 反省反省。


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