Chapter1【支配都市:グランドヴィル編】今、始まる。
光の奔流に身を投じた瞬間、彼らの意識は激しい渦に巻き込まれた。全身を圧迫するような浮遊感と、色彩の洪水。それは一瞬の出来事であり、次の瞬間、彼らは硬いアスファルトの上に投げ出されていた。
最初に呻き声を上げたのは、凪乃 朱木だった。彼は体を起こし、頭を抱えながら周囲を見回す。
凪乃 朱木
「いてて……またどこかに飛ばされたのか……。ったく、乱暴な移動手段だぜ。」
彼の隣で、魅羽月 瑠樹が、スカートの埃を払いながら立ち上がる。彼女の視線は、周囲の異様な光景に釘付けになっていた。
魅羽月 瑠樹
「ここは……一体どこなの?なんか、すごいレトロな雰囲気を感じるわ。」
彼らが立っているのは、砂利が混じった古びた舗装道路の脇だった。周囲を見渡せば、木造の電柱が立ち並び、黒い電話線が空を複雑に横切っている。建物の壁は煤けており、看板には縦書きの文字や、今では見かけないようなフォントが使われていた。流れてくる車の音も、どこか懐かしい、低く唸るようなエンジン音だ。
陰平 亜月は、未だに信じられないといった様子で、呆然と立ち尽くしていた。
「まだ信じ難いな……。あれ?さっきまでいた教会はどこだ?振り返っても、ただの古びた路地裏しかないぞ。」
彼らがいた場所は、教会の扉の向こう側、つまり、もう元の世界とは切り離された、別の次元だった。
牙 燐乃は、冷静に状況を整理する。彼女は、路地裏の壁に立てかけられた錆びた自転車に目をやりながら、低い声で言った。
「あの謎の女、スペスの後ろにあったあの扉。あれに入った瞬間、私たちはバラバラに引き裂かれ、ここに放り込まれたってことか……。まるで、世界が違っている。」
その時、扶情 隼 (ふじょう しゅん)が、周囲のメンバーを確認し、焦りの声を上げた。
「おい!みんな無事か!……て、あれ。ここにいるの、俺と亜月と朱木。そして、燐乃、瑠樹の5人しかいないじゃねぇか!」
彼の言葉に、全員がハッとして互いの顔を見合わせる。確かに、あの教会にいたはずの仲間たちの姿がない。
魅羽月 瑠樹は、不安を滲ませながら、唇を噛んだ。
「どうやら、あの扉へ入ったあと、私たちはバラバラになって、違う場所へと行ってしまったようね。みんなは無事なのかしら……スペスの言った通り、『いくつもの世界』に分かれてしまったのね。」
彼ら5人組が辿り着いたのは、どこか懐かしさを感じる、昭和時代の東京のような場所だった。古き良き時代の空気が、彼らの肌を撫でる。
凪乃 朱木は、辺りを見回し、ため息をついた。
「ここは……東京みたいな街並みだな。でも、俺たちが知ってる東京じゃねぇ。一体、ここて何しろってんだよ……。」
果たして、残りの仲間たちは、誰と一緒になり、一体どのような場所へと飛ばされてしまったのだろうか。熱帯のジャングルか、未来的な都市か、それとも中世の城塞都市か。想像は尽きないが、今は目の前の現実に対処するしかない。
陰平 亜月は、ふと自分の服装に違和感を覚えた。
「困ったもんだ。てか、いつのまにか学校の制服から私服になってる。どうなってんだ……。まるで、この世界に溶け込むように、強制的に変えられたみたいだ。」
彼らは皆、見慣れた制服ではなく、普段着ているはずの私服姿になっていた。この世界が、彼らに「日常」を演じることを強いているかのようだ。
その時、扶情 隼が、自分のズボンのポケットに手を突っ込み、何か硬い感触に気づいた。
扶情 隼
「ん?いつのまにかポケットの中に金がいくらか入ってるぞ……。て、これ、30万もあるじゃねぇか!」
彼の驚きの声に、他のメンバーも慌てて自分のポケットを確認する。
瑠樹のハンドバッグ、朱木のジャケットの内ポケット、亜月のジーンズのポケット、そして燐乃のコートのポケット。全員が、正確に30万円の現金を持っていることを確認した。合計で150万円。この見知らぬ世界で、彼らが生き延びるための、最初の「手掛かり」であり、「資金」だった。
牙 燐乃は、札束を数えながら、その意図を推し量る。
「この金でどうにかしろってことか……。スペスが用意したのか、それともこの世界が与えたものか。まずは、何から始めよう。この資金をどう使うか、それが最初の課題だな。」
陰平 亜月は、現実的な提案をした。
「とりあえず、このまま路地裏にいるわけにもいかない。泊まる場所を決めよう。どこか近くに、アパートとか、安宿とかないかな……。この街並みなら、そういう場所も見つけやすそうだ。」
まだ来たばかりで、この世界のルールも、自分たちの使命の具体的な内容も、何もわからない。
しかし、彼らは立ち止まることは許されない。
扶情 隼を中心として、5人は顔を見合わせ、まずはこの街で「生活」を始めるための第一歩を踏み出すことを決めた。
彼らは、これから起こるであろう数々の困難と、離散した仲間たちへの想いを胸に、話し合いながら、昭和の幻影のような街並みを拝見し、歩き始めた。
しかし、彼ら5人組はまだ知らない。
この街は、
【闇に包まれている】ということを...
人物紹介No.2 【扶情 隼男子】
生まれながらに先端巨大症という病を持っており、現時点での身長は驚異の318cmの大男。そして何よりガタイがいい。
彼はいつも元気で明るいムードメーカーな性格。
この身長なため私生活ではあまりにも支障をきたしている場面が多い。
No.3 【陰平 亜月男子】
少し見た目が根暗な感じがする男。
容姿が暗い感じなだけで根は優しく正義感が強い。
彼も身長が高く246cmもあり周りから恐れられている。
No.4 【凪乃 朱木男子】
彼はとても誠実で責任感があるとても真面目体質な男。
けれどたまにお茶目なことをし出すギャップもある。
身長は244cm。
No.5 【牙 燐乃女子】
彼女は女にしてとても男っぽい性格をしている。
正義感が強く、かっこいい乙女と言わんばかり。
身長は228cm。女子中学生とは思えない身長だ。
No.6 【魅羽月 瑠樹女子】
彼女は清純派でクラスからお母さんと呼ばれているほど大人っぽくおっとりとした性格。
身長は192cm。




