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第57章:日本が行うべき必要な政策 part4 「子どもを産み育てたい女性が、仕事を続けても負担にならない社会」を作ること

女性については「就業率を上げること」そのものを目標にするのではなく、「子どもを産み育てたい女性が、仕事を続けても負担にならない社会」を作ることを優先する。

労働力不足への短中期対応としては、高齢者の就業継続をより積極的に活用する。


という考え方が適切だと思います。


これは、実際の日本のデータを見るとかなり筋の通った考え方です。


日本では女性の就業率が大きく上昇してきました。25~44歳女性の就業率は2013年の68%から2022年には79%へ上昇しています。一方で、2023年の合計特殊出生率は1.20まで低下しています。OECDも、日本では女性がキャリアと出産・子育てを両立することの難しさが問題になっていると指摘しています。


ただし、ここから、


「女性の就業率上昇が少子化を引き起こした」


と単純に結論づけることもできません。


むしろOECDの分析では、先進国では現在、女性の就業率と出生率の関係は以前とは変わっており、女性が仕事と家庭を両立しやすい国ほど出生率が高い傾向が確認されています。日本の自治体を対象にした研究でも、女性の労働参加率が高い自治体ほど出生率が高いという関係が報告されています。


つまり問題は、


女性が働くこと


そのものより、


「働く女性が、出産すると大きなキャリア・所得・時間的コストを負う仕組み」


なのだと思います。


そこで私は、政策を3つに分けるのがいいと思います

① 女性については「労働力化」ではなく「両立可能化」


例えば、


出産

↓

育児休業

↓

短時間勤務

↓

保育

↓

子どもの病気・学校行事への対応

↓

通常勤務への復帰


という流れを、女性だけではなく夫婦・企業・社会全体で支える。


特に重要なのが男性側です。


OECDによれば、日本では2022年に育児休業を取得した男性は17%に対して女性は80%でした。また、男性の育休取得者でも半数以上が2週間未満でした。


つまり、


女性をもっと働かせる


ではなく、


子育ての負担を女性だけに集中させない


ことのほうが重要です。


② 労働力不足については「高齢者」をもっと活用する


日本にはすでに非常に大きな高齢者人口があります。


しかも日本の高齢者は、必ずしも「働けない人」ばかりではありません。


実際、2024年には55~64歳の就業率が79.2%まで上昇しており、OECD諸国の中でも高い水準です。


したがって、


60~69歳


の人が健康状態に応じて働ける環境を整えることは、かなり合理的です。


ただし、


「高齢者をもっと働かせればいい」


という政策にしてはいけないと思います。


重要なのは、


「働きたい高齢者が働ける」


ことです。


例えば、


週5日 → 週3日

8時間 → 4~6時間

肉体労働 → 軽作業

管理職 → 顧問・教育係

現場作業 → AI・ロボットの補助

通勤 → テレワーク


など、働き方を変える。


これはかなり大きな労働力になります。


③ そして「AI・ロボット」を第3の柱にする


ここが今後の日本では非常に重要だと思います。


人口減少に対して、


若者を増やす

+

外国人を増やす

+

女性を増やす

+

高齢者を増やす


だけで対応しようとすると、結局は「人間を増やす競争」になります。


しかし、


AI

+

ロボット

+

自動化


なら、


1人の労働者が生み出す価値を増やす


ことができます。


OECDも2025年の日本について、人口減少への対応として「労働力の動員」と「生産性向上」を組み合わせる必要があるとしています。


私なら、優先順位をこうします

政策主目的優先度の考え方

少子化対策将来の人口・社会維持★★★★★

子育てと仕事の両立支援出産によるキャリア犠牲を減らす★★★★★

高齢者の就業継続10~20年程度の労働力確保★★★★☆

AI・ロボット労働生産性向上★★★★★

外国人労働者不足分の補完★★★☆☆

女性の就業率そのものを上げる政策労働力増加△


私は**「女性の就業率を上げること自体」を悪いとは考えません**。


ただ、


女性の就業率を上げることを政策目標にして、その結果として出産・育児を圧迫する


のは本末転倒だと思います。


むしろ、


「働きたい女性は働ける。子どもを産みたい女性は安心して産める。両方を望む女性は両方を選べる」


という社会を作ることが重要です。


OECDも、女性を従来型の日本企業の働き方に合わせるのではなく、仕事と家庭を両立できるよう雇用制度そのものを変えることが重要だと指摘しています。


そして、私はもう一つ重要な点があると思います


「女性の就業拡大」と「少子化対策」を別々の政策として考えること自体が間違っている可能性があります。


例えば、


現在の日本


女性が働く

↓

子育てとの両立が難しい

↓

出産を遅らせる・子どもを諦める

↓

少子化


という経路がある。


これを、


目指す社会


女性が働く

↓

男性も家事・育児を担う

↓

保育・教育・住宅を社会が支援

↓

出産してもキャリアが途切れない

↓

女性の就業と出生率が両立


に変える。


実際、日本では保育施設の拡充に伴って25~44歳女性の就業率が大幅に上昇しました。またOECDは、保育などの現物給付は、単純な児童手当よりも仕事と家庭の両立を可能にすることで出生率に強い効果を持つ場合があるとしています。ただし、日本全国の出生率を反転させるほどの効果はこれまで確認されていません。


私は、


「女性を労働力不足解消のための人的資源として扱うのではなく、子育てとの両立を最優先にして、その結果として働ける人は働けるようにする」


という方向がいいと思います。


そして労働力不足そのものは、


① 高齢者の就業継続

② AI・ロボット

③ 女性の両立支援による就業

④ 外国人労働者

⑤ 長期的には出生率回復


という複数の手段で補う。


特に日本の場合、すでに高齢者の就業率がかなり高いので、高齢者だけで労働力減少を完全に埋めることは難しいという点には注意が必要です。OECDの2026年分析でも、日本は60歳以上の就業率をさらに高める余地がある一方、女性・高齢者・外国人の組み合わせと生産性向上が必要だとしています。


私が一番重視したいのは、「人を増やす政策」だけでなく「1人が無理なく生活しながら、より大きな経済価値を生み出せる社会」に変えることです。


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