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第71話 国境都市奪還作戦

 師匠は国境の都市アザトス奪還に乗り気じゃなかった。

 プレイヤーのみんなは、国防省の人間でも、陰陽局の人間でもない。守られる側の人間だ。強制はできないし、そもそもしない。

 派遣されて来た騎士の手前、人を集めて募集をかけたに過ぎなかった。


 その後師匠は、フェルミアの領主からアザトスの奪還要請をはねのけてきたが、王都から派遣されてきた使者がやっかいだった。

 

「参ったなこりゃ……」


「王女様直々ですか……」


「そうなんだよ。ったくよぉ。王女様まで来たら、流石に断りきれんぞ」


「やっぱり俺達だけでどうにかするんですか?」


「あぁ、そうだ。他の連中はダンジョン配信でどうせ参加しないだろ? ったくよぉ。タイミング悪すぎないか? こんな時にダンジョン実装か? グランドクエストが進む時に実装とか、頭悪すぎだろ。それとも何かしらの意図があるのか……まさに神のみぞ知るってか?」


「私も参加しますよ」


「お? アリサちゃん、やる気だねぇ。どしたの?」


「お金が欲しくて……」


「そいつは立派な動機だ」


 ここには俺達だけじゃなくて、キャサリンさんとレンさん、そしてまどかさんと凛さんもいた。こっちの面々はちょっと微妙な顔をしていた。ダンジョン配信で盛り上がってるからな。

 

「悪いな。断っても全然構わねぇが話だけでも聞いてくれ」


「私達、素人よぉ」


「わかってる」


「僕は聞いてもいいと思うよ。普段お世話になってるからね!」


 レンさんの言葉にみんな頷いていた。


「アザトス奪還は俺達でやる。お前らには別の任務を頼みたい」


「別の任務?」


「あぁ。王女様が現場で俺達の戦いを見たいんだとさ。なんでも王家の試練って奴で、武勲を立てなければならないんだと。そこで表向きは姫様の指揮によって、今回の作戦が行われる。まぁ姫様の依頼で動くんだから、全部嘘ってわけじゃねぇけどな。護衛の騎士もいるが、ちょっと頼りない。まぁ今回は敵さんが守る方だから、向かってくることはないと思うが、万が一敵が向かって来たら殺されちゃうだろうな。そんなわけで、お前らには護衛を頼みたい。こいつはグランドクエストの最前線だな」


「本物のお姫様の護衛かい!? 任せて欲しい!」


「レンがやる気ならやるしかないわね」


「それって取れ高的にどうなの?」


「ちょっと地味ね……」


「あ? 最前線に出たいの? 勇気あるじゃねぇか」


「あ、いえ、敵が来なかったら、ずっと代わり映えない配信になっちゃうなぁと」


「神力集めにならない」


「それなら問題ない。俺様が偵察用式神を出す。最前線の映像を届けてやるから、実況でもしておけ」


「安全なところから実況できるなら美味しいかぁ」


「でも同じ映像だとかぶっちゃうよね」


「ったくよ。人数分出してやるから好きにしとけ。だが本来の任務は忘れるなよ」


「ありがとうございます!」


「んじぁこっからは、オフェンスの話だ。俺様が放った式神によるとだな。アザトスは結構手薄だ。何せ、ここや他の都市を攻めるのに三千以上の魔物やら兵を出して、その殆どを失ったんだからな」

 師匠の言葉にみんなちょっと誇らしげだ。

 

「主に守りの要は巨大ゴーレムだ。ゴーレムは石や金属でできた巨人なんだが、こいつが結構曲者でな。剣じゃ歯が立たない。魔法で破壊しようにも、大質量の相手だと魔法でも苦労する。かといって戦略級の巨大魔法を使えば、都市が吹っ飛んじまう」


「都市って中に人はいないんですよね?」


「あ? とっくに避難してるし、逃げ遅れた奴はもうくたばってるだろ。だがアザトスは国境の都市で、戦いにおける最前線だ。その都市を破壊するわけにはいかねぇんだよ。だから戦略級の魔法も使えない。都市が人質に取られてるようなもんだ」


「やっかいですね」


「あぁ。そうだ。攻めあぐねてる間に、向こうの戦力を補強されたらたまったもんじゃない。だからリオネール王国は俺達の機動式神に目を付けた。だがアレは使用制限がある。そんなこと説明できねぇから、運用費用に莫大な金がかかるって言い分けして、強気で押さえてたんだが……姫様まで出てきやがった。流石に分が悪いだろ?」


「じゃあ俺達だけで何とかすると……」


「そうだ。まぁ元々機動式神を出すまでもないんだがな。んじゃ具体的な作戦を説明すっぞ」


 師匠の説明を聞いて、アリサさんは引きつった顔をしていた。

 

「嘘でしょ……」

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