↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/210

第69話 打ち上げと作戦会議

 俺達は再びホテルのレストランで打ち上げをすることになった。


「かんぱーい!」


 アリサさんが乾杯の音頭を取ってくれた。


「なんとかなったな!」


 コップを掲げながら、俺はホッとしていた。


「ギリギリだったね!」


 琴音も苦笑いだった。

 今回は俺達二人のせいだからな……


「序盤慎重になり過ぎたのよ」


「でもあれは必要だったと思うけどなー」


「時間制限がなければねぇ。普通のダンジョンだったら、慎重すぎるくらいでいいとも思うわよ」


「うーん。あのダンジョンは色々危険だよ。あれになれちゃうとダメな気がする」


 琴音はダンジョンをあまりよく思ってないんだよな。

 

「そうだな。普通の冒険もやっていかないとな」


「……確かに。グランドクエストをクリアしないと、帰れないしね」


「そうだよ!」


「まぁ間に合ったのは、式神達のおかげだな!」


 そう言って俺は、アシリア達にコップを掲げた。

 

「えっへん!」


「ふ。当然のこと」


「お仕置きしてくれても構わないのぞ」


「それは断る」


「あうん。秒で断られた! それはそれで……いいっ!」


 アリサさんは一人で興奮しているシルヴィアをスルーして、案内妖精に目線を送った。


「それじゃあ! お待ちかね! 宝箱の開封始めるわよ!」


 アリサさんが宣言すると、コメント欄が勢いよく流れた。

 

「まずは私から!」


 アリサさんが取り出したのは、真っ赤な鞘に収まったロングソードだった。

 ところどころ金で装飾されていてかっこいい。

 

「んー。これは琴音ちゃんか早川が使えばいいわよね」


 アリサさんはそう言ってゴトンとテーブルに剣を置いた。扱いが雑だ。

 

「それと……これは魔法のネックレス? 火の属性アップかな。これ私がもらっていい?」


「いいと思うぞ」


「うんうん。じゃあ次は私! これって剣と同じシリーズかな?」


 琴音が取り出したのは赤い小手だ。剣と同じく金で装飾されている。

 

「これも火の防御力が上がるみたいだねー」


「我はこれじゃ」


 狐鈴が取り出したのは、赤いローブだった。

 

「ふむ。これも耐火が付いておるの。しかし目に痛いのぉ。いくら強くても遠慮したい」


「んじゃ最後は俺」


 俺はパーティー用のアイテムボックスから、真っ赤な金属のブーツを取り出した。


「後は……換金アイテムか?」


 ルビーっぽい宝石が幾つかあった。

 

「鎧や兜はでなかったんだね。そっちはレアかなぁ?」


 アリサさんは少し悔しそうだ。ここで出ていれば、配信が一気に盛り上がったかもな。


「ってことは一式揃えるには周回する必要があるのか」


「た、大変だっ!」


「うーん、俺も琴音も軽装鎧か狩衣。狐鈴は巫女装束。アリサさんはローブだから、一式揃える必要ないか?」


「もしかしたら、八十三階って火属性のモンスターが多かったりしてね」


「そういうこと? ってことは、本当は昨日ドロップした武器や防具で装備を整えて、アースドラゴンと戦うっていう想定だったのかな?」


「そうだ! 昨日ドロップしたネックレス見てみよ」


 そう言って琴音がネックレスを取り出した。


「やっぱりこれも火の防御が上がるやつ!」


「ということは、やっぱり八十三階って火のダンジョンだったりして?」


「そうかもな。とりあえず明日は八十三階に行ってみましょうか!」


◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌日の朝食。俺達は食堂に集まっていた。


「昨日のまどか達の配信見た?」


 アリサさんが深刻そうな顔をしていた。


「切り抜き動画だけど、見たよ……すごく面白かった……」


 少し思い出してみる。

 

 まず画面に映ったのはキャサリンさんのドアップだ。

 強烈過ぎて一瞬画面から身を引いてしまうくらいだ。

 

「ぬおああああっ!」


 どうやら落とし穴に落ちたみたいで、必死に手と足を伸ばして踏ん張り、落ちないように頑張っていた。

 

「まったく困った子猫ちゃんだ」


 レンさんが太い蔓《つる》を召喚して、キャサリンさんを巻き取って救出していた。

 

「助かったわぁ」


「気を付けていきましょう」


 凛さんがそう言って歩き出した次の瞬間。凛さんも落とし穴に落ちた。

 

「キュアアアッ!」

 

「ちょっ!」


 レンさんがとっさに蔓を操作して、凛さんを救出した。

 

「やるわね。このダンジョン」


 凛さんってポンコツなところがあるんだよね。

 パッと見た感じクール系なんだけど、ファンからはポンコツ可愛いって言われている。


 次のシーンに切り替わると、巨大な鉄球に追われているところだった。

 

「キャサリン! お前ならあれをどうにかできるだろ!」


「できるわけないでしょう! あんたこそ植物で止められないのぉ!?」


「それこそ無理だよ!」


 T字路があったので、何とか左右に分かれて全滅を回避していた。

 

 次のシーンは凛さんが罠の火矢に当たって、火だるまになって転がっていた。

 

「あっつい! あっつい!」


 シールドがあるから、直接人体が燃えているわけではないけど、シールド全体を覆うような炎って怖すぎるだろう!

 

「ちょっと動かないで!」


 まどかさんが消火するためにウォーター・ボールを放っていた。

 

 俺は切り抜き動画を見て思った。

 リアルだったら怖い動画だけど、アバターなのでドタバタ珍道中に見えてしまう。

 しかもシールドがなくなったら脱出できるっていう安心感があるから、笑えてしまう。

 面白すぎてこれには勝てない。

 

 対して俺達はどうだ?

 前半慎重すぎて見せ場がなかった。

 後半は時間までに攻略できるかどうかの瀬戸際感もあり、戦闘も迫力があったと思う。

 だけど、それまでが退屈だったんじゃないか?

 視聴者はそれで離脱して、まどかさん達のチャンネルを見たりして……

 

 ゲームでいうスーパープレイを見たいって言う人もいれば、ポンコツで笑える配信を見たいって思う人もいるだろう。

 まどかさん達は、ポンコツで笑えるシーンだけじゃなく、やる時はやるし、ボスとの戦闘シーンはギリギリ感もあって見ごたえがあった。

 

「このままじゃ勝てない。でも私達がポンコツプレイなんてできないし、やってもわざとらしくなってダメよ」


「ならスーパープレイで魅せるしかないか?」


「式神もフル活用しましょう。それと一つ提案があるんだけど」


「ん?」


「攻略した後に、ライブしたいのよ?」


「やってるじゃないか?」


「ライブ配信じゃなくて、歌のライブ! 最後のボス部屋で時間が余ったら、そこで歌ってみたとかどうよ?」


「昨日はギリギリだったぞ」


「そう。だからよ。タイムリミット残り三十分は残したい。勝利のライブが見たいって思って、みんな応援してくれるかもよ?」


「タイムアタックも兼ねてるのか」


「そうよ!」


「私は面白いと思うよ。アリサちゃん、歌上手いしね」


「何言ってるの? 琴音ちゃんも歌うのよ?」


「……えええええっ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。