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第62話 打ち上げ配信

 俺達は常夏の島に戻り、ホテルのレストランで打ち上げをすることになった。

 案の定、店内はダンジョン帰りのプレイヤー達で溢れかえっていた。

 あちこち案内妖精が飛び交っている。

 みんな食事をとりながら、配信を回しているな。笑い声と乾杯のコールがあちこちで弾けていた。


「何度でもー! かーんぱーい!」


 まどかさんの声だ。


「アリサー! それに秀一くーん!」


 まどかさん達はすでに出来上がっていた。近寄るとすっごく酒臭い。


「やってるわねー」


「今日は冒険は大成功よ!」


「コメントチャージ気持ちいいわね!」


「それなー! レベル40のモンスターが溶ける溶ける!」


「ふふん。こっちはレベル80台よ!」


「まじで! すっごっ!」


「しばらく夜配信かなー! 昼間のライブ配信だと、みんな学校や仕事だからね」


「そうだよねぇ。平次休みの人って少ないし……」


「だからアーカイブで振り返り配信がメインになってたけど……」


「夜にライブ配信した方が、見やすいって人が多いのは事実なのよね……」


「悩ましいわね」


「あっ!」


 まどかさんの視線を追いかけて、入口の方を見ると、見たことある人達がいた。

 まどかさんと凛さんの、元パーティーメンバー達だ。

 装備のボロボロ具合と顔色からして、ダンジョン攻略は上手くいかなかったようだ。


「お前らぁ! 追放してくれてありがとうなー! こっちはこっちで楽しんでるぞー!」


「まどか! ごめんね。もうお酒回ってるみたいだから、気にしないでね」


 凛さんが慌ててフォローした。

 そしてそのまま暴れ出しそうだったので、まどかさんを後ろから羽交い締めにした。


「離せー! 絶対にざまぁって言ってやるんだー!」


「ちょっと! まどか! 暴れないで!」


「全く困った子猫ちゃんだ! 凛ちゃん。ちょっと離れて」


 レンがスキルを使って薔薇の枝を呼び出し、まどかさんをぐるぐる巻きにした。


「ごめんよ。まどかちゃん」


「レンきゅーん! 黙って欲しかったらその口で塞いでー!」


「やれやれ。しょうがないな」


 レンさんは紫の花を召喚すると、花粉をまどかさんに振りかけた。


「レンきゅー……」


 まどかさんがコテッっと意識を失うと、レンさんが薔薇の枝を操って、椅子に座らせてほどいた。


「ちょっとだけおやすみ。ごめんね。まどかさんのリスナーさん達。睡眠効果のある花粉だよ。威力もそんなに強くないから、すぐに起きるから心配しないで!」


「ねぇ。あなた達」


 キャサリンさんの声は、ねっちょりしてるけど、ドスが効いていた。


「事情はわかってるから、なるべく離れた場所で食事を取ってくれないかしら?」


「わ、わかった」


 向こうもパーティリーダーっぽい人が、かなりビビった様子で答えた。他のメンバーも居心地悪そうで、そそくさと去っていった。


「ねぇ。アリサ。一緒に飲まない?」


「いいわよ。凛。こっちには未成年もいるからお手柔らかにね」


「ええ。もちろんよ」



「凛達はレベル上がった?」


「ええ。レベル四十二になったわ」


「この間はレベル三十八だったわよね?」


「ガンガン上がったわ! モンスターもいっぱい出てくるし、効率いいわね。アリサは?」


「まぁ私も六十九から二つ上がって七十一よ」


「高いわね」


「あっ! そうだ! 宝箱出た?」


「ん? 出たわよ」


「ねぇ。刀って出た?」


「残念ながら。出なかったわ」


「そっか。ねぇ。刀が出たらトレードしない?」


「え? そっちってレベル八十のダンジョンでしょ? いいの?」


「いいんじゃない?」


 アリサさんがこっちを向いた。


「全然いいよ。刀のスキルが欲しいんだ」


「じゃあしばらく宝箱から出たアイテムは、売らずに取っておいた方がいいわね」


「こっちも刀は取っておく……でいいかしら?」


「いいわよ」


「僕もいいと思うよ! むしろ得しちゃうな!」



「なぁ……オークの鎧と剣さ。まどかさんと凛さんの元パーティーメンバーに渡してきていいか?」


「え? なんで?」


 凛さんが口をポカンと開けた。


「俺達がキャサリンさん達のパーティーを紹介しなかったら、戻れたかもしれないだろ」


「いや、絶対戻らないし」


「そうかもしれないけどさ。向こうはそう思わないかもしれない。余計なことしやがって、ってな」


「考え過ぎよ」


「なるべく恨まれることはしたくない。恨みは怨念となり、呪いとなり、生霊となるんだ。呪い返しすればいいんだけど、そんな手間ひまかけるより、最初から恨まれないことが一番なんだよ」


「ふぁあ……それなら……その鎧と剣。買い取らせて」


 まどかさんが起きた。


「私が直接渡してごめんなさいしてくる」


「……まどか。いいの?」


「うん。私にだって非はあるもの」


「そうね。私も行くわ。代金は半分こね」


「うん。高そうだけど、ちゃんと払うわ。もらったりしたらけじめにならないし。何よりかっこ悪いわ」


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