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第104話 アリサ視点 学びの成果

 座学で色々とわかってきたわ。

 呪文はオンなんとかって始まるんだけど、ここはサンスクリット語なの。

 サンスクリット語は古代インドで使われていた言語で、宗教や哲学とかにも使われているんだけど、仏典なんかにも使われている。

 オンは呪文の頭に置くことで、神様や仏様に、力や祈りの成功を求めるって意味になるの。


 サンスクリット語の呪文に言霊を乗せて、神様や仏様に悪を滅ぼすお力をお貸しくださいってお願いすると、超自然現象として返ってくる。

 沖田さん……沖田師匠なんかは、サンスクリット語だけで陰陽術を発動させちゃう。それはその部分だけで神様仏様への祈りが届いているから。

 秀一君や琴音ちゃんは追加で日本語の呪文を唱えている。これは祈りが足りなかったり、言霊に乗せるイメージが足りなかったりするからみたい。

 秀一君はサンスクリット語だけの呪文は高等レベルだって言ってたな。


 他にも色々と勉強をした後、私は狐鈴さんに教わった妖術を試してみたくなって、常夏の島の浜辺に向かった。


 他のプレイヤー達が、沖田師匠達に教わりながら、魔法を放ったり、剣の稽古をつけてもらっている。

 私は彼らから離れたところで、誰もいない浜に向かって呪文を唱えた。


「オン・アグニ・マーヤ・クルタ・フシャーラ!」


 陰陽術を理解したことによって、私も呪力がより多く言霊に乗り、言霊は呪文となって祈りを届けた。


「妖狐の焔よ、此処に顕現せよ! 妖炎爆雷! 急急如律令!」


 狐火が前方に飛んで行き、砂浜に着弾すると同時に轟音が鳴り響き、真っ赤な炎がまるで花を咲かせるように広がった。


 え……

 

 目の前が真っ赤になり、次の瞬間、私は吹っ飛ばされていた。


「きゃあああっ!」


 私はゴロゴロと浜辺を転がり、ヤシの木に当たってやっと止まった。

 ボトンとヤシの実が目の前に落ちてきた。

 そんな馬鹿な。


「おいおい。アリサちゃん、大丈夫か?」


 沖田師匠が駆けつけてくれた。

 秀一君だったらよかったのに。


「……はい。なんとか……シールドが殆ど削れちゃったけど」


「ちゃんと理解したから威力が上がったか。上出来だ。次は距離と威力の調整だな。敵が遠くにいる時は全力でもいいが、近くにいる時は威力を絞れ。秀一達はそれを無意識でやっているぞ」


「わかりました」


 威力の調整かぁ。難しそう……


「アリサちゃんは狐様に憑依されて、呪力だけはすげぇことになっているからな。気をつけろよ」


「今まではその呪力を使えてなかったってことですね」


「そういうことだ。呪力の総量もまだまだだけどな。呪力は使えば使うほど、威力も総量も上がる。秀一なんて常に狐様を出しっぱなしにしてるからな。日々上がっているぜ」


 今ならわかる。

 狐鈴さんほどの式神をずっと出しっぱなしするのはすごい。。

 いったいどれくらいの呪力があるのか想像がつかない。

 それでも足りないっていうの……


「秀一君って今、狐鈴さんだけじゃなくて、式神をいっぱい出していますよね」


「あぁ。まだ全員一度に出せないからな。呪力を上げるために無茶してるぜ。呪力を限界まで消費すれば、筋肉みたいに回復時に総量が増えるからな。アリサちゃんも経験してるだろ? 呪力も精神力も尽き果ててぶっ倒れたのは」


 デーモンと夜通し戦い続けた時のことか。


「まぁ限界まで使い続けなくても、それなりに増えるからな。アリサちゃんもやれば?」


「ははは……。ほどほどに……」


「力が欲しいですか?」


 いきなり後ろから声がした。


「え?」


 振り向くとそこにはセリーニさんがいた。

 沖田さんは逃げるように戻って行った。

 ええええ……

 セリーニさんと二人で会話って怖い。

 やっぱり沖田師匠は頼りないな……


「土御門亜理紗。今日はいいものを持ってきたわ」


 そう言ってセリーニさんは、バックの中から翡翠色の勾玉まがたまを取り出した。

 女の子でも握れるくらいの大きさだ。


「持ってみなさい」


「はい」


 私は勾玉を受け取り、手の平の上に置いた。


「……これは?」


「土御門本家から借りてきました。安倍晴明が持っていた勾玉よ」


「ええっ! 土御門本家って……」


「私はプレイヤーではありませんから。秀一様に送還されたら、浄土世界を経由して地球に戻れるのです」


「あっ! そっか!」


「どうですか? 何か感じませんか? 土御門の血を引くあなたなら、何か起こるかと思ったのですが」


 勾玉に呪力を通してたその瞬間。世界が虹色に輝いた。


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